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【社会】

大洋薬品停止命令へ 調合ミス品を出荷

2010年3月17日 朝刊

 ジェネリック医薬品大手の大洋薬品工業(名古屋市中村区)が、主力の高山工場(岐阜県高山市)で製造し昨年九月に自主回収した胃潰瘍(かいよう)などの治療薬について、安全管理に重大な問題があったとして岐阜県は近く、同工場に薬事法に基づく業務停止命令を出す方針を固めた。大手製薬会社の自主回収を受け、行政機関が業務停止命令を出すのは異例。同県は、業務停止は三月下旬から十日間前後で検討している。

 同社によると、回収したのは昨年二月に製造した「ガスポートD錠20ミリグラム」(一般名ファモチジン)で、調合の際に薬剤を取り違えて二ロット分約二万八千箱(一箱百錠入り)を製造。品質を確かめる検査でもサンプルを取り違えるミスが重なり、規格外のまま三千余の病院や薬局など医療機関向けに出荷していた。取り違えた薬剤は主成分ではなく、健康への影響はないという。

 長野県が昨年九月四日、流通中の薬品をサンプル検査すると連絡してきたのを機に、同社で保管製品を再検査したところ製造ミスが判明。これを受け同社は、本社のある愛知県へ届け出て自主回収した。大半は処方されるなどしており、回収できたのは16%という。

 薬品の製造業許可を出している岐阜県は、同工場の立ち入り調査を既に実施。規格外製品が流通した事実を重くみている。厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課によると、自主回収は年間百五十〜百八十件ほどあるが、二重のミスによる流通は異例という。

 民間調査会社によると、同社の昨年度の売り上げは約四百二十億円で、五年間で二倍近くに急成長。フットサルの強豪「名古屋オーシャンズ」のオフィシャルスポンサーとしても知られる。

 <ジェネリック医薬品(後発医薬品)> 新薬(先発医薬品)の特許期間が切れた後、他メーカーが厚生労働省の許可を得て、同じ効果や成分で製造、販売する医薬品。開発、研究費がかからない分、価格が安い。国は患者の負担軽減や医療費抑制のため使用促進を図っている。

 

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