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[ICON]ある広告人の告白(あるいは愚痴かもね)

ある広告人の告白(あるいは愚痴かもね)

池本孝慈

某ネットコンテンツ会社社員。

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radiko.jpで、AMラジオが息を吹き返すかも

Radiko

 関東と関西の民放AM局、FM局が参加するサイマルラジオ「radiko.jp」が始まりましたね。今は試験配信とのことですが、はてなブックマークでも2000を超えるブックマークを集めていたり(参照)、Twitterで多くの人につぶやかれたり、久々の大型の話題になっているようです。

 ただし、現在のところ放送エリア以外の場所では聴けません。放送エリア以外では下のような画面が表示されてしまいます。

Radiko_out

 ラジオ好きのネットユーザーとしては、例えば、関東在住の人が関西のラジオを聴きたいというニーズはあるだろうし、サイマルラジオなら、当然そこを期待してしまうのですが、それは、まあ大人の事情ということですね。そこまで急速に時代は変わらない、ということかもしれません。

 このradiko.jpがこれまでのインターネットラジオやポッドキャストと決定的に違うのは、民放のAM、FMの放送コンテンツが、CMも含めて何ひとつ省略されず、タイムテーブルもそのままにインターネットで再現されるという点。これは、日本の放送史でも歴史に残る出来事ではないでしょうか。

 ラジオCMがいい感じで耳に入ってきます。ラジオを聴いている感覚そのままなんですよね。いつもは能動的に接しているネットで、ラジオというメディアの「受動性」が当たり前のように実現されてしまっていることに、少しばかり驚いています。考えてみると、まあラジオを聴いているのだから当たり前ではあるのですが、それでも、こんなに簡単に実現されてしまうんだなあ、という感覚がありますね。ほんの少し前まで、楽曲やタレントなどの権利がからむCM素材は、自社のウェブサイトにさえ掲載できなかったんですよね。なんか感慨深いです。

 何度か聴いてみた感想としては、まずは音がいいこと。これはかなり新鮮でした。これもまた、理屈としては、そりゃそうだろうということなんですが、AMとFMが音質的にほとんど違いがないんですよね。となると、コンテンツはAMの方がネットにはなじみやすい気がします。このradiko.jpは、もしかするとAMラジオ復権のトリガーになるかもしれないなあ。最近はFMも音楽ばかりでなく、AM的なトーク中心のコンテンツづくりをしているようですが、その傾向に拍車がかかるのかも。

 というより、ラジオメディアの衰退って、もしかするとハード、つまり受信機の問題だったんじゃないかな、と思いました。つまり、ラジオ受信機というハードがもはや時代に合わなくなってきた、というような。考えてみると、そりゃそうだろって話ですが、こうしてあらためて、こういう状況を突きつけられると分かりやすくなりますね。結構、単純な問題だったのかも。

 ずいぶん前に、AMラジオの復活のためには、Appleに陳情してでもいいから、iPodにAMラジオチューナーを付けてもらうべきなんじゃないか、みたいなことを書いたのですが、そんなこんなもradiko.jpで一発解決。これは見事なもんだなあ、と思いました。

 私はAMラジオが好きだし、AMラジオを聴きながら他の用事をする習慣があるから、家に帰ると、まずラジオをつけて、つけっぱなしにしていることが多いけど、たとえばネットをやっているときに、わざわざラジオをつける、という行為は、簡単に思えて、結構敷居が高いのだろうと思います。ネットなんかでも、1クリック行程が増えるだけで、ユーザーが半減と言われているのに。それに、今どき、ラジオ受信機を持っていない人や、防災用にしまっている人は多いでしょうし。

 ラジオというメディアは、ターゲティング的には、自動車を運転する人や商店や町工場で働いている人のメディアとされてきましたが、このradiko.jpで、もしかするとその認識が変わるのかもしれません。

 ラジオやテレビというメディアは、いずれはこういう感じになっていくんでしょうね。汎用的には、すべてPCで、という感じになって、ちゃんと観たいときは高画質のテレビ受信機、自動車に乗っていたりして、ネット環境にないときはラジオ受信機、という棲み分け。で、PCで提供されるコンテンツとして、テレビ、ラジオのコンテンツをとらえたとき、お金がかかっているだけに、もともと優位性はかなりあるんですよね。

 それにしても、民放ラジオ各局は思い切りましたね。NHKオンデマンドや日経電子版など、従来からのマスメディアの新しい試みが続きましたが、これは、ひさびさ、当たるかもと思いました。あとは、地方局がどう判断するか、ということですね。一応、建前としては、都会の難聴取解消のためということですが、PCでラジオを聴きたいというニーズは、地方でも同様にあると思います。この流れは、早い段階で全国に広がりそうな感じがします。

 エリア制限解禁は、いろいろ難しい課題をクリアしないといけないのでしょうが、ユーザーのニーズは、確実にエリア制限解禁の方向にあるので(今、TBSラジオを聴いていたら、雨上がりの宮迫さんが「radikoで全国のみなさんが聴けるようになったんですよ」と話していました。これは間違った情報ですが、まあ、一般のニーズはそういうことですよね。)、地方局はいろいろと頭が痛いのでしょうね。このあたり、なんとかならないんでしょうか。理想論としては、その地方に住む人が聴きたくなるような魅力的なコンテンツの提供ということですが、現実はそうもいかないでしょうし。

 放送の使命としては、全国津々浦々平等に享受できるように、というものがあるにもかかわらず、これまでの放送インフラでは、いまだに実現できずにいます。でも、ネットを使えば、いとも簡単に解消できてしまうんですよね。それで万々歳と言えばそうでもなくて、そのことが地方の独自性を阻害する結果を生み出すことにもなってしまいます。それが時代の流れだよ、冷たく言い放つこともできると思うけれど、どこかに無邪気によろこべない気持ちも私の中にはありますし、現在のエリア制限は、その過渡期での現実的な解であるような気もしています。なんか、もやもやはするけれど。

 なんか自分の中には、矛盾した2つの気持ちがありますね。どちらも本音だけれど、そのどちらにも完全にはいけないもどかしさがあります。やっぱり、「ぬかるみの世界」とか「ヤンタン」とか「サタデーバチョン」とか、関西ローカルAM局の深夜放送を聴いて育ってきましたしねえ。その矛盾を一気に解決するブレイクスルーはないものでしょうかねえ。

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