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マーケティング「指標管理」

山本 泰史
テラデータ事業本部 マーケティング統括部
マーケティング部 スペシャリスト

第一回:指標管理に基づくキャンペーン活動の可視化と評価

業務改革推進や企業経営の透明化の潮流から、マーケティング活動の可視化に注目が集まっている。勘と経験に頼ったマーケティングから脱し、個々のキャン ペーン結果を全社で共有することで、より顧客ニーズに合った製品・サービスの提供につなげるものだ。本稿では、マーケティングの可視化に必要なポイントを 解説する。

テクノロジーの進展により、マーケティング活動の可視化が現実のものとなってきた。Eメールやインターネット、コールセンターなどの電子的なダイレクトチャネルが進展し、データベース技術が向上してきたことが理由の 1つだ。これは、マスマーケティングのあり方も変えている。

例えば消費者は、CM や電車内のポスターで見た商品やサービスをどこで購入・利用するだろうか? POS や ATM などの店頭端末のほか、インターネットやコールセンターを使うこともあるだろう。それらの顧客コンタクトは最終的に、すべて電子データ化される。これにより、購買とマーケティング活動の因果関係を解き明かすことが可能となる。もちろん、すべてのプロセスはカバーできないが、完全でなくともデータ化できれば、マーケティング活動を可視化できる。

以下では、マーケティング活動において可視化すべきポイントを、3回にわたって紹介していく。初回は、基礎的なマーケティング指標とその意味を整理しよう。

キャンペーン単位で効果を可視化する。

今日のマーケティング活動では、キャンペーンをその活動単位としてくくった上で、計画立案、実行、評価するのが一般的だ。その背景として、企業のマーケティング活動が精緻になってきたことが挙げられる。

先進国に共通して見られることだが、消費者は、伝統的なマスマーケティングに対して冷ややかになってきた。あまりに大量にメッセージが投げかけられてきたせいで感覚が麻痺し、これらのマーケティングに驚きや目新しさを感じなくなったのだ。これは、マスチャネルそのものに意味がなくなったということではない。その時点で接点がない顧客へのアクセス手段として効果はあるが、唯一絶対のチャネルではなく、数ある手段の 1つでしかない。

現代的なキャンペーンでは、まず対象顧客を絞り込み、これらに対して最大限 "効く" ようチューンナップされたメッセージや商品案内を行なう。これにより、コストコンシャスで、かつ訴求力の高いメッセージングが可能となる。結果、キャンペーンの対象顧客は比較的小さな単位となり、このようなキャンペーンを数多く実行していくことが必要となる。キャンペーンごとに展開することのメリットは、各顧客のニーズに合わせた案内ができる点だけではない。キャンペーン単位でメッセージングすることで、どのキャンペーンが効果的だったか、どこに改善の余地があるかが分かる。そしてこの結果を踏まえ、対象顧客、メッセージ内容、利用チャネル、キャンペーン開始タイミングを調整できる。

重要な指標:レスポンス率と投下資本収益率

実施された各キャンペーンを評価する際、同じ指標を適用して測定することが望ましい。そうすることで、キャンペーン間の比較評価が可能となる(表1 参照)。

表1. 各キャンペーンのレスポンス率例

その際に最初の指標となるのは「案内顧客数」だ。マスマーケティングの場合、視聴率から算出した露出ボリュームや、雑誌における発行部数は参考になるが、これはあくまで概算値でしかない。一方、これに呼応した顧客の数は明らかになる。キャンペーンに呼応した顧客の数が「レスポンス数」として用いられる指標だ。

以上の指標が分かれば、レスポンス率が判明する。顧客数ベースでの効率を計算する場合、レスポンス数を分子、案内顧客数を分母にすると、レスポンス率が導かれる。マスマーケティングでのレスポンス率は数%程度が一般的だが、ダイレクトチャネルを利用したマーケティングでは、これをはるかに超えるレスポンス率を実現することも珍しくはない。実際、テラデータのクライアント企業では、顧客行動の変化に基づいたイベント主導型のキャンペーンを展開した際、70%を超えるレスポンス率となったケースもある。

以上の指標が分かれば、レスポンス率が判明する。顧客数ベースでの効率を計算する場合、レスポンス数を分子、案内顧客数を分母にすると、レスポンス率が導かれる。マスマーケティングでのレスポンス率は数%程度が一般的だが、ダイレクトチャネルを利用したマーケティングでは、これをはるかに超えるレスポンス率を実現することも珍しくはない。実際、テラデータのクライアント企業では、顧客行動の変化に基づいたイベント主導型のキャンペーンを展開した際、70%を超えるレスポンス率となったケースもある。

注意すべきなのは、これらのレスポンスをキャンペーン単位で取得する点だ。キャンペーン終了後の評価を思い浮かべてほしい。サマリで見た場合に分かるのは、そのキャンペーンが「良かった」か「悪かったか」しかない。これでは、次回以降のキャンペーンに活かす知識にはならない。表2 のように分解できれば、チャネルと顧客属性の関連性も明らかになる。

表2. チャネルとセグメント属性のレスポンス率比較

次に見るべき指標として、「キャンペーンの投下資本収益率」がある(表3 参照)。

表3. キャンペーンの効果サマリ

極めて単純化するなら、キャンペーンコストを分母、レスポンスの得られた顧客からの収益を分子にして計算することで、この指標を可視化できる。

キャンペーンごとに投資資本収益率を出す

以上の仕組みを実現するには、表層的なサマリ指標を可視化するだけでは不十分だ。収益性を正確に算出するロジックが必要となる。なぜなら、案内経費は、キャンペーン単位や顧客単位のデータとして蓄積されていない場合がある上、ブランディングの経費のように、特定キャンペーンだけに属さないケースもあるからだ。そのため、按分処理やアクティビティベースでのコスト付与を実行して、正確にコストを算出する必要がある。

さらに言えば、「顧客−キャンペーン単位」、つまり最小単位でのコストを付与し、それを積み上げることで、キャンペーンごとの投下資本収益率に結びつけるのが望ましい。表4 に示したのはあるキャンペーンのコスト付与例だ。

表4. コスト付与例

コストの性質によって、付与するべき対象に「案内顧客」や「レスポンス顧客」、「顧客ごとの売上金額」を選択する。これにより表2 に示したような顧客属性とチャネルのクロス評価も、収益ベースで実現可能となる。

次回は、この顧客−キャンペーン単位で実施されたコスト付与について解説する。

この記事は月刊 『コンピューターテレフォニー』 (2006年4月号)に掲載されたものです。

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