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【社会】

性描写規制案 先送りへ 都議会 民主、批判に配慮

2010年3月18日 朝刊

 子どもを性的な対象に描いた漫画やアニメを規制する東京都の青少年健全育成条例改正案は、都議会総務委員会で賛成か反対かの採決が先送りされる公算になった。最大会派の民主党は「審議時間が足りない」として継続審査とする方向で各派と調整、継続審査動議を提案して可決される見通し。

 共産党や生活者ネットワーク・みらいも継続審査に同調する見込み。民主を含むこの三会派で委員の過半数を占める勢力になり、十九日の採決で決まる。

 自民、公明は改正案に賛成する方針を固めている。

 改正案では、十八歳未満として描かれている漫画の登場人物を「非実在青少年」と表現。こうしたキャラクターへの性暴力を誇張して描いた作品を、十八歳未満の子どもに販売しないようにする規制を盛り込んだ。

 民主党幹部は「条例の趣旨は賛成だが、懸念が多く寄せられており、払しょくする必要がある」と説明している。

 条例改正案をめぐっては、最大会派の民主だけでなく、自民、公明や議会局などにも「表現の自由を損なう」などとして反対する手紙や電子メールが全国から殺到。特に議会局には十六日からメールが急増し、一日二千通以上が押し寄せた。二月は約六十件、三月は十五日までに約三百件の意見が届いていたが、大きく報道されてから急増した。ただ、漫画全体が規制されるといった誤解もあるという。

 漫画家のちばてつやさんらが十五日、反対のアピールを表明。日本雑誌協会、日本書籍出版協会など四団体でつくる出版倫理協議会も十七日、「当局の恣意(しい)的な判断によって、検閲や弾圧につながる恐れがある」などとする反対声明を発表した。

 

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