前副知事への贈賄罪で起訴された添田町長、山本文男被告(84)が16日、添田町議会で11年度予算案の提案にあたり、施政方針を述べた。議員から「来年度も町長をやるつもりか」と質疑が出たが、山本被告は「これ(所信)を申し上げた以上、実施するのは当然のこと」とかわし、明言を避けながらも改めて町長職にとどまる意向を示した。
登壇した山本被告は大きな活字が印刷された書面に顔をつけるようにして約30分間、ほとんど顔を上げずに読み上げた。自らの贈賄事件や進退にはまったく触れなかった。
これに対し、久保田実生議員(社民)が「来年度も自身が町長として町のかじをとる方針で述べたのか」「今まで進退について明言していない。『熟慮』のまま町長を続けるのか」と問いただしたが、山本被告はそっけなく「(事業を)実施するのは当然」と述べただけ。久保田議員はさらに「今のような町長の行状で『不法投棄をしてはいけない』『滞納してはだめ』と言っても説得力がない」と追及したが、「滞納対策などは以前から継続して取り組んでいること」とはぐらかした。
閉会後、松本雄二議員(無所属)は「都合の悪いことをはぐらかすのはいつものこと。25日の一般質問で追及するしかない」と話した。また、傍聴していた男性(79)は「町長の辞任の弁を聞きに来たが、期待外れ。もう早く辞めてほしい」と語った。【林田雅浩】
〔筑豊版〕
毎日新聞 2010年3月17日 地方版