ホッとニュース 【3月17日03時44分更新】

涙ぐましいケチケチ作戦 財政難の石川県内市町

業務終了後、庁舎内を清掃する市職員=珠洲市役所
 財政難にあえぐ石川県内の市町が、経費削減を強化している。昼休み時間の消灯や使用 済み用紙の裏面再利用は今や当たり前。職員が庁舎内を掃除したり、トイレの自動水洗回 数を減らすなど工夫はあれこれだ。税収不足が重くのしかかる中、職員からは「やれるこ とはやった」との声も聞かれ、涙ぐましいほどのケチケチ作戦も限界に達し始めている。

 増えているのは職員の自主清掃だ。2005年10月から始めた珠洲市では「経費削減 効果は年間250万円。業者と遜色(そんしょく)ないほどきれいになる」ともはやお手 の物の様子。七尾市では職位に関係なく部長職でもトイレ掃除に励み、樹木の枝切りも職 員が担当。能美市でも清掃委託費が年間1100万円に上るため、新年度から検討中で「 経費削減の努力を市民に見せたい」(総務課)とする。

 昼休みに庁舎内を消灯するのは金沢市、輪島市、七尾市、中能登町、志賀町、内灘町な ど。職員は窓から差し込む明かりを頼りに昼食の弁当を食べ、わずかでも電気代を浮かせ ようと必死だ。

 経費削減の「先駆者」を自任する羽咋市。暖房は19度に設定され、職員が防寒着で執 務する姿はもはや日常に。今年1月からは午後7時までだった市民の夜間用窓口を同6時 半までに短縮、さらに人件費や光熱費削減に切り込む。

 小松市は年間1600万円かかっていた市内40施設の消防点検について資格所有者1 人を臨時雇用して自前でまかなう。かほく市は新年度、消防本部の壁面にゴーヤを植え、 室温を下げることで冷房費削減を見込む。

 七尾市は2年ほど前からパソコンを職員数人で共有している。ディスプレーとキーボー ドはそれぞれにあるが「親機の電源を落とされ、作った文書がパーになったこともある」 と苦い経験を語る職員も。津幡町では半径2キロ以内の用務は自転車に乗り、ガソリン代 の節約を図る。

 男子トイレの自動水洗の回数を削減した白山市は▽パソコンでの資料印刷は必要な部分 だけにする▽公用車運転時は「ふんわりアクセル」を心掛けるなどの項目をチェックリス トで点数化し、昨年度はパソコンの節電対策は37点、事務用紙削減は89点だった。

 一方、過度な経費削減策は行政サービス低下につながりかねず、住民からは「節約は大 切だが、行き過ぎるのもどうか」(白山市の30代男性会社員)の声も。廊下の蛍光灯は ほとんど付けないという加賀市では「乾いたタオルをなお絞り、これ以上絞ったらちぎれ る」(行財政課)との嘆きが漏れた。


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