福岡市西区の能古島で会社員諸賀(もろが)礼子さん(32)の遺体が見つかった事件で、諸賀さんが今月6日に行方不明になった後も、諸賀さんの口座から現金などは引き出されていないことが17日、捜査関係者の話で分かった。自宅には現金数万円が入った財布なども残されており、県警は強盗や窃盗など物取り目的の犯行ではなく、交友関係などのトラブルから事件に巻き込まれた可能性が高いとみて調べている。
捜査関係者によると、県警が諸賀さんの金融機関の口座を調べたところ、行方不明後も100万円以上ある預金から現金が引き出された形跡はなかったという。
諸賀さんの同市博多区堅粕5丁目の自宅には、財布が残され、現金のほかにカード類も盗まれていなかった。自宅全体も荒らされた様子はなかったという。
また、自宅からなくなっていた諸賀さんの私用の携帯電話は、行方不明後、ずっと不通状態が続いているという。県警が通話履歴を調べたところ、普段からあまり利用しておらず、行方不明になる直前も不審な着信などはなかった。メールは、会社関係者とゴルフについてやりとりしている程度で、これまでのところ文面から悩みやトラブルがあった様子などは確認できていないという。
諸賀さんの遺体は、15日午後、能古島の砂浜で見つかった。胴体部分のみで、死後に鋭利な刃物で手足などが切断されたとみられる。諸賀さんは5日夜に会社を出たのを最後に行方が分からなくなり、7日朝に会社関係者が博多署に届け出た。
=2010/03/18付 西日本新聞朝刊=