外務省は15日、作成後30年経過した外交文書について、原則として自動的に公開する制度を導入する方針を固めた。16日に同省で開く「外交記録公開・文書管理対策本部」の初会合で提起する。例外的に非公開とする場合も、文書の担当課に理由の説明を義務づけることで、公開を徹底する考えだ。
外交文書の公開は、国際的な基準に合わせ、戦後の文書を対象に「原則30年を経た外交記録を一般に公開」との方針で1976年に始まった。これまで計21回、約1万9千件が公開されたが、どの文書を公開するかは担当課が事実上決めてきたため、「国益を損なう」などを理由に、30年経ても公開されない文書や非公開部分を黒塗りにした文書が多くあった。
新制度では、明文化されていなかった30年経過後の文書公開を規則に明記する方向。事務次官をトップとし、有識者も加えた推進委員会が、外交記録の公開業務を担当する「外交記録審査室」に助言・指導すると位置づけ、同室の権限強化につなげる。推進委の結論には大臣ら政務レベルの了解も必要とし、官僚のなれ合いをチェックする。
非公開とする場合は担当課に説明責任を負わせ、担当課の裁量を極力排除する方向。重要文書の破棄など不適切な文書管理をした場合、処分の対象とすることも検討する。
新制度が導入されれば、60年の日米安保条約改定や72年の沖縄返還、日中国交正常化などの外交文書も全面的な公開につながる可能性がある。