福岡市西区能古の能古島で女性の胴体部分が見つかった事件で、福岡県警は16日、DNA鑑定などから、遺体は今月6日から行方不明になっていた福岡市博多区堅粕5丁目、会社員諸賀礼子さん(32)と特定した。県警は諸賀さんが何らかのトラブルに巻き込まれて殺害された後、遺体を切断して遺棄された疑いがあるとみて調べている。
福岡西署などの捜査本部によると、遺体は、下腹部から両脚の付け根までの胴体で、着衣はなかった。司法解剖の結果、死後1週間から10日とみられ、死後に鋭利な刃物で切断されたとみられる。遺体には殴られたようなあざが2カ所あった。
諸賀さんは2階建てマンションに1人暮らし。5日午後7時ごろ、会社を出るのを同僚らが確認。その後、連絡が取れなくなった。6日、仕事仲間とゴルフに行く予定だったが現れず、7日に上司が警察に届け出た。
諸賀さん宅はドアや窓が施錠された状態で、ベランダの窓ガラスが内側から割られていた。室内に現金数万円が入った財布やバッグがあり、諸賀さんが通勤に使う車も残され、車の鍵もバッグの中にあったという。諸賀さんは会社を出て、いったん自宅に戻った後、行方が分からなくなったとみられる。
自宅の状況や諸賀さんに失跡する理由が見当たらないことから、県警は事件に巻き込まれた可能性が高いとして、県警が交友関係などを調べている。近所の住民によると、諸賀さんがいなくなる直前の3日と4日の未明、諸賀さんのマンションから男女が言い争う声がしたという。
また、諸賀さんは昨年末、インターネットの会員制サイトに「交通事故の相手と紛争になり、困っている」という内容の書き込みをしており、事件との関連を慎重に調べている。
諸賀さんは福岡県出身で、鹿児島大を卒業後、福岡市の医療用医薬品卸会社に勤務。約3年前から南福岡支店(同県筑紫野市)で、筑紫地区の病院などの営業を担当していたという。勤務先によると、無断欠勤などはなくまじめで、会社関係者は「職場でのトラブルなども聞いておらず、原因は分からない」と話している。
=2010/03/17付 西日本新聞朝刊=