[米上院]人民元切り上げ求め中国制裁　超党派で法案化表明

　【ワシントン斉藤信宏】米上院のシューマー（民主）、グラム（共和）両議員ら民主、共和超党派の議員団は１６日会見し、中国が人民元の切り上げに応じない場合、厳しい罰則を科すことなどを明記した事実上の中国制裁法の制定を目指す考えを表明した。米国内では、オバマ大統領が「輸出倍増計画」を打ち出した１１日の演説で、中国に人民元の切り上げを強く求めるなど対中圧力が強まっており、通貨をめぐる米中対立が深刻化する可能性も出てきた。

　両議員がまとめた法案では、中国が為替政策を変更しない場合、中国製品の一部に関税を課すことや世界貿易機関（ＷＴＯ）への提訴を米政府に求めることなどを盛り込んでおり、記者会見したシューマー議員は「早急に議会を通過させる必要がある」と強調した。

　米議会では１５日にも、超党派議員１３０人が連名でガイトナー米財務長官とロック商務長官に書簡を送り、中国を「為替操作国」に認定し、対抗策を実施するよう求めるなど、中国の為替政策に対する批判が強まっている。

　議会の動きについて、ガイトナー米財務長官は１６日、米フォックステレビとのインタビューで「より柔軟な為替相場に移行することは中国にとっての利益になる」と述べ、中国による人民元切り上げが遠くないとの見通しを示した。

　中国では１４日、全国人民代表大会の閉幕後に記者会見した温家宝首相が「人民元の通貨価値は低く設定されていない」と通貨切り上げを求める声に反論し「強制することは制度改革に不利に働く」などと米国をけん制していた。