タイトルに「36歳」とついた意味はあるんですか?
─この映画は、熊切和嘉監督にとって初の女性映画としても話題になっています。三十路女の生態をリアルに描いたオリジナルストーリーですね。
坂井:映画のタイトルに「36歳」とついているので、取材のときに、「36歳という年齢とは?」と聞かれます。もともと監督が考えていた題名の中に「36歳」という言葉は入っていなかったのです、企画の段階で、色々と話していくうちに、ノン子の設定年齢の36歳をタイトルに入れることが決まりました。「36歳」とタイトルに付いていますが、あまり関係ないと思っています(笑)。たまたまノン子が36歳なのです。でも、30代の女性を映し出す映画として、何か心揺れるものが皆さんに届いたら嬉しいです。
─番思い出に残っている撮影中のエピソードを教えて下さい。
坂井:今回の映画では、熊切監督が長回しで撮影することにもたくさん挑戦していました。カットをせずに長い間カメラを回し続けるんです。自転車で源君の後ろに私が乗るというシーンがあるのですが、あのシーンは大変でした。源君はもちろんお芝居をしなければならないのですが、その他にバランスだったり技術的な調整や、太陽の具合を待ったり。もちろん、リハーサルを何回も繰り返したりと。やっぱり、シーンを長く撮るっていうのは大変ですね。でも、とても贅沢な時間だと思います。だから、この長回しのシーンは一番印象に残っています。
星野:僕がすごく覚えているのは、僕が坂井さんを肩車して、坂井さんが木の枝におみくじを結ぶシーンがあるんですが、あれ、大変でしたね。
一同:笑
坂井:そう、すごい心配でしたよ! 源君って体力なさそうに見えるじゃないですか。ほんとに死んじゃうんじゃないかって心配しました(笑)。
星野:いやいや、軽かったっす、すごく。坂井さんは恐がりなんです。だからあのシーンで「こわい、こわい」って言ってるのは、わりと坂井さんの本当のリアクションなんです。
坂井:あれは確かに大変でしたね。何回もやりましたし。源君は、私の前では「大丈夫です、大丈夫です」って絶対心配させないようにするんです。でも、陰の方で首を抑えて「痛〜っ」ってやってたよね(笑)。本当に大丈夫かなって思ってました。
星野:あっ、全然隠せてなかったんだ(笑)。しかも、シーンの前半は僕たちが肩車しているところよりも、それを見ている斉木さんがほとんど映ってるから、実際その苦労が映ってなかったんですよね(笑)。
坂井:ハハハ、そうだよね。もちろん、クオリティ的には私達がちゃんと演じた方がいいんですが、斉木さんを写すシーンは私達が映るわけじゃないから、肩車するのが助監督とかスタッフでもいいわけですよ。さらに、どこを写されているのか、何も聞かされてないまま撮影が進んだからね(笑)。