社説
自民の混迷 理念も気構えも見えぬ(3月17日)
内向きの足の引っ張り合いにしか見えない。自民党の混迷のことだ。
鳩山邦夫元総務相が離党届を出した。谷垣禎一総裁の率いる自民党では民主党政権に対抗できないからだという。
きのうは与謝野馨元財務相と会談し、連携を持ちかけた。与謝野氏は月刊誌に寄せた論文で「谷垣氏には政権を倒す気構えがない」として退陣要求を突きつけている。
鳩山氏は、執行部に批判的な舛添要一前厚労相にも同調を呼び掛けている。政策通の与謝野氏と知名度がある舛添氏とともに、5月の連休前には新党を結成したいとしている。
野党転落後、離党者は6人目となる。衆院では鳩山氏が初めてだ。党内では国会戦術をめぐり大島理森幹事長や川崎二郎国対委員長への不満が高まっている。鳩山氏の動きはこうした声を代弁した面もあろう。
谷垣氏の求心力が一段と低下することは間違いない。亀裂が深まり自民党の分裂につながるのか、あるいは政界再編に向けた呼び水となるのか。注視したい。
問題は、鳩山氏の目指す方向が不明確なことだ。
与謝野氏は消費税率引き上げを唱える財政再建派の最右翼だ。舛添氏は増税の前に成長で経済のパイを大きくすべきだと主張している。経済政策では「水と油」ほど違う。
小泉純一郎政権が進めた構造改革への評価も大きく異なっている。
鳩山氏は自民党や民主党などで離党を繰り返してきた。菅直人財務相が「離党は何度目になるのか」と皮肉ったほどだ。鳩山氏は今度はいかなる新党をつくろうというのか。
谷垣氏らは混乱を最小限に抑え込もうと躍起だ。だが執行部交代を求める動きは中堅・若手にまで広がった。簡単には収拾できそうにない。
国会は来週にも新年度予算の成立が見込まれる大事な時期だ。野党第1党が審議に身を入れず右往左往するさまは無責任としか映るまい。
各種世論調査で、支持政党なしの無党派が増えている。
共同通信社の調査では無党派が政党支持率で民主、自民両党を抜き、「第1党」に躍り出た。民主党は「政治とカネ」の問題で支持者離れが起きている。といって自民党はその受け皿となり得ていない。
自民党は昨年の政権交代直前まで「選挙の顔」として新総裁を選んでは支持率が下がると交代を迫るドタバタ劇を繰り返した。それが国民の信頼を失う大きな要因だった。
谷垣氏は半年前に党内の6割の支持を受けてリーダーに選ばれたばかりだ。にもかかわらずこの体たらくである。理念なき迷走を続ければ、自民党の存在意義が問われる。
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