社会
シカの食害、チョウ激減 南但馬山間部で深刻
一見、緑豊かだが、シカの嫌う毒草類などで覆われ、チョウの姿が消えた山の斜面=養父市森 |
ニホンジカの食害が深刻な但馬南部の山間地で、春から初夏に羽化するチョウが激減していることが専門家の調査で分かった。幼虫の食草やみつをもたらす草花をシカが食い尽くすためとみられ、モンシロチョウやベニシジミなど広範囲にいるチョウさえ1匹も確認できなかった。専門家は「山間部で生物の多様性が失われつつある」と危機感を募らせる。
佐用町昆虫館(兵庫県佐用町)を運営する特定非営利活動法人(NPO法人)「こどもとむしの会」のメンバーで、日本鱗翅(りんし)学会員近藤伸一さん(64)=朝来市=が調査。チョウ類の発生状況を指標化し、環境評価に役立てようと、10年前から続けている。
約1キロのルートを歩いてチョウの種類と数を月3〜4回調べ、1年間を通して記録。山里や海岸部など多様なルートを設定し、違いを見る。今年は食害との関連に注目し、シカの嫌う毒草類ばかりが茂る養父市森の林道などで調べている。
4月上旬〜6月上旬の7回の調査で、確認できたのは10種27匹にとどまった。標高など立地条件が似ていて、シカ被害がほとんどなかった2001年の同市八鹿町石原での調査では、同時期の5回の観察で25種238匹を確認。今年の方が調査回数が多いのに、チョウの種類も数も激減した。
モンシロチョウやベニシジミ、セセリの仲間は1匹も確認できず、この時期に発生のピークを迎えるヒメウラナミジャノメは12匹(八鹿町石原の01年調査=42匹)、スジグロシロチョウは1匹(同=13匹)、さらに春にしか出現しないツマキチョウも1匹(同=25匹)と激減。一帯では、ササやイネ科、アブラナ科の食草や、花のみつをもたらす草花が、シカに食べ尽くされていた。
近藤さんは「欠落種がこれほど多いとは、想像以上だ。ほかの昆虫や生態系全体に影響が出てもおかしくない」と警告している。(高田裕司)
(6/24 10:08)
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