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社会

兵庫県天然記念物植物群 シカの食害で危機 

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湿原を覆っていた1994年6月のカキツバタの群落=兵庫県香美町村岡区の銚子ケ谷湿原(前田常雄さん提供)

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2009年6月の湿原。シカの食害で絶滅寸前のカキツバタと、シカが食べないため増えてきたショウブが混在している=兵庫県香美町村岡区の銚子ケ谷湿原(前田常雄さん提供)

 氷ノ山(1510メートル)など兵庫の高地に自生する県天然記念物の植物群が、シカの食害で危機にひんしていることが専門家の調査で分かった。いずれも約1万年前に終わった氷河期以降も湿地などに奇跡的に生き残ってきた西日本でも貴重な植物だが、シカが近年食い荒らし、絶滅寸前に追い込まれているものもあるという。「天然記念物は食害を受けている植物の一部、シカが森の姿を激変させている」と専門家は指摘している。(辻本一好)

 但馬などで40年以上研究を続けている兵庫県生物学会副会長の前田常雄さん(72)が調査。氷ノ山山頂に近い「古生(こせ)沼」「千本・古千本湿原」では、千島列島など亜寒帯で見られるヤチスゲなどの植物群が県天然記念物に指定されているが、2002年ごろからシカの食害が始まったという。

 食害は氷ノ山周辺から但馬北部にも拡大。蘇武(そぶ)岳(1074メートル)の香美町側にある県天然記念物「銚子ケ谷(ちょうしがたに)カキツバタ群落」は07年から食害がひどくなり、絶滅寸前の状態という。

 また、周辺の森林ではシカの食害による荒廃が急速に進んでおり、シカが食べない植物だけが残った荒涼とした広葉樹林や草地が増加。県森林動物研究センターの調査でも、朝来、養父、宍粟市、神河町にまたがる地域を中心に森林内のシカ害が深刻化していることが確認されている。

 シカは温暖化などで増加しており、県は4万3300〜6万2400頭程度が県内に生息しているとみている。

 前田さんは「草と低木を失った森では、雨で大量の土砂が流出しやすくなっており、県は防災面からも調査を急ぐべきだ」と訴えている。

(2010/03/07 16:35)


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