2009年後半において起きた普天間基地の移転問題の原因

普天間基地の移転問題の根本的な問題の始まりは自由民主党政権下での米国(当時の政権下)と日本政府(自民党政権下:前政権)間における強引な協議によって沖縄県名護市辺野古地区に決定(現在の日米合意案)したことに始まる。

この移転案は本来沖縄県が示した位置より500m陸側での決定(飛行ルート等で問題がある)で移転先地域及び県のの反発を招いた
更に公共工事等で現地(名護地区)の景気刺激策を行ったが地元民の恒常的雇用
には結びつかなかった。

次に、前回の日本国国会議員選挙時(衆議院選挙時)に(日本国の)民主党(現政権政党)や社会民主党及び国民新党(現政権政党)は米国マリン普天間航空基地の移転問題を利用し「沖縄県外への移設」や「米国空軍嘉手納基地への統合案」を持ち出し選挙により沖縄県選出議員として当選した。

その後(日本国の)民主党政権下でこれらの移転問題が沖縄県選出議員により陳情され沖縄県外への移設が検討されたがその際に一度は否定された「米国空軍嘉手納基地への統合案」を現在の外務大臣や下地氏が不用意にも言い出したが為に沖縄県内で燻っていた不満が噴出した。
米国の政権もオバマ政権へと変わり変更に対する期待もあったと思われる。

この際に日本国側も当初沖縄県側が出していた案(現行案の500m沖合いの案)は日本国政府側は無視した。

この事の根本的原因は日本国政府内での内閣閣僚の意見が不統一・不考慮発言多発と現総理大臣の指導力不足が原因である。

この問題の収拾策は沖縄県が最初に出した案で決着する事が米国にも日本国政府にも良い決着案となると思われる。
ただ、沖縄側に不満が大きく残る結果になるが、現在の沖縄の経済環境を好転させる施策(但し公共工事等ではない)で説得可能である。

普天間航空基地の移転問題は上記の解決法で良いが更に悪い問題が発生している。

現在日本国内にある米軍基地には多数の日本人従業員が勤務(約9000人)しているがその賃金について「事業仕分け」によって「見直し」の裁定が出た。
「見直し」の理由は所在米軍基地の地域間の「給与格差を付けるべき」という理由であり、この事は沖縄県下の基地従業員(MLC/IHA)の給与削減を意味する。

現在の沖縄県下での基地従業員には国家公務員の70%程度の賃金が支払われており、この事はこれらの職への羨望を生み出し1960年代当時に大きく存在した反米感情や反基地感情を減少させる事に大きく貢献している。

何故ならば沖縄県住民の平均賃金は日本国内で最低レベルであり国家公務員の方が高いからである。
現在沖縄では失業率も高く米軍基地内の仕事を欲している人々は数多く存在する。

米軍基地従業員の給与削減を「事業仕分け」通りに強行すればこれまで(仕事があるため抑えられていた)反基地感情は沖縄県下で再度増大し最終的には独立運動へと進行する可能性も出てきている。
(本来沖縄県民は殆どが反基地感情を持っている)
現在米軍関係の問題が起こる時に出てくる反基地運動によるデモ等は今でも反米感情や反基地感情がかなりある事の証拠でもある。

日本の政権が自由民主党から民主党へ変わり政策としての「高めの賃金」の意義・効用を日本国政府は忘れかけている。

今現在でも軍事的に重要な地区に存在する米軍基地の安定的運用や存在自体が怪しくなる可能性が1960年代の祖国復帰運動時以上に増大する。
この事はアジア地区の軍事的不安定化の要因になる可能性もある。

これらの解決法として「沖縄県下での基地従業員の増員と給与レベルの全体的向上」を提案したい。
沖縄県下の米軍基地内にも人員不足(MLC/IHAの人数が決まっている為)が恒常的に存在しており、今でもこれを解決するために格安賃金の「派遣労働者」が存在している。
基地従業員の増員分を地元からの採用で拡大する事で失業率の改善へと繋がり更にこれらの職への羨望と希望により直接的な反基地運動は減少するであろう。

既に沖縄に米軍基地が無くても大丈夫との意見もあるが、不安定度の増した北朝鮮や近年装備の近代化した中国への対応としては不適切であり危険である。
まだこの地域の軍事的バランスを保つには米軍の存在は不可欠である。


※このテキストは原作者の許可により管理人により改定・再掲しています。
※原作者・管理人共に拡散を希望しています。

参考リンク

沖縄返還 - Wikipedia

米軍基地従業員の大量解雇問題 - 公文書館通信 - 沖縄県公文書館

(魚拓) なぜ普天間問題がこじれるのか - マル激トーク・オン・ディマンド - ビデオニュース・ドットコム インターネット放送局

(魚拓) 沖縄タイムス | 県、受け入れ合意なし 普天間移設V字案で防衛省見解 検討委に次回正式報告

(魚拓) 沖縄タイムス | 防衛相、普天間移設県内を示唆 下地氏「現実対応で解決」

沖縄から覚醒する日本 2009年11月4日  田中 宇

(魚拓) 07年度の県民所得 沖縄は最下位204万9千円 首位は東京 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

(魚拓) 首相「米と沖縄の理解得る案に」 福島氏「民意重視を」- 47NEWS(よんななニュース)