米軍普天間飛行場移設をめぐり、米軍ホワイトビーチから津堅島の間を埋め立てる案に、航空自衛隊那覇基地や米軍那覇港湾施設(那覇軍港)も併設することを政府が検討していることに対し、地元首長や普天間飛行場の国外・県外移設を求める意見書を全会一致で可決した県議会関係者、識者からも「流れに逆行している」「県民世論は国外・県外だ」と反発の声が上がった。
島袋俊夫うるま市長は「県民世論は『国外・県外』で一致し、わたしも既にその立場を示している。この考えに変わりはない。ホワイトビーチなどの案については政府から正式に示されたものでなくコメントする立場にない」と述べた。
高嶺善伸県議会議長は「意見書の趣旨からしてもどの議員も容認できないはずだ。ゼロベースの検討から県内移設を完全に除外することが政府に対する県民の希望だ」と強調。基地集約について「整理縮小は県内のたらい回しでなく、原則論でいかないといけない。県内移設を認めることは、あらゆる選択肢を認めることになる。県内での地域間対立も起こしかねない」と指摘した。
1999年に結成した「普天間基地・那覇軍港の県内移設に反対する県民会議」で共同代表を務めた佐久川政一沖縄大名誉教授は、県内で移設先の名前が次々と挙がることに「11年前から状況は進展していない」と話す。那覇軍港などの併設案には「どの案であろうと県内移設は受け入れられないというのは県民がずっと言い続けてきた。政府はもう沖縄以外で移設先を探すつもりがないとしか思えない」と憤った。
我部政明琉球大教授は同案について「無理だ」と断言。「巨大で長期的に使われる基地をまったく新しく造ることになり、埋め立ても広大になる。SACO合意以降の流れにすべて逆行しており、県民が利点を感じられる要素がない」と指摘する。「県民は那覇空港から空自がいなくなることより滑走路増設を望んでいる。那覇軍港を併設するなら牧港補給地区の返還と浦添市の港湾整備はどうなるのか」と疑問を示した。
昨年の県民大会で共同代表を務めた玉城義和県議は「自衛隊を抱き合わせるなど、保守層が反対しづらい状況をつくろうという姑息(こそく)な手段ではいつまでも解決しない」と糾弾。「政府が県内移設が可能だという幻想を捨てなければ、この問題はまた何十年も泥沼化する」と語気を強めた。
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