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ネット名誉棄損:ネット上も要件同じ 「深刻な被害ある」--最高裁初判断

 インターネット上の表現を巡り名誉棄損罪の成立要件が争われた刑事裁判で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は15日付の決定で「閲覧者がネット上の情報を信頼性が低いと受け取るとは限らない」と述べ、ネット上の表現も罪の成立要件は他の表現方法より緩やかにならないとの初判断を示した。

 そのうえで、自分のホームページに02年、東京都のラーメンチェーン経営会社について「カルト団体が母体」と中傷する文章を掲載したとして同罪に問われた会社員、橋爪研吾被告(38)側の上告を棄却。無罪の1審判決を破棄し、罰金30万円の逆転有罪とした2審・東京高裁判決(09年1月)が確定する。

 1審・東京地裁は08年2月、「ネットは利用者が互いに反論でき、情報の信頼性も低いと受け止められている」と指摘。罪の成立要件はマスコミ報道や出版より限定すべきだとした。これに対し高裁は「ネットに限って基準を変えるべきでない」と覆した。

 小法廷は「ネットの情報は不特定多数が瞬時に閲覧可能で、時として深刻な被害がある。それ以外の表現手段と区別して考える根拠はない」と判断。「被告は事実関係を会社に確認しておらず、罪が成立する」と結論づけた。【銭場裕司】

毎日新聞 2010年3月17日 東京朝刊

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