中国でのヤミ移植仲介が疑われる業者(49)が「見ず知らずの他人同士」の生体移植を画策している問題で、国内有数の移植実績を持つ国立千葉東病院(千葉市)が1月、この業者が関与する腎移植計画について倫理委員会を開き、正式検討していたことが15日、関係者の話で分かった。
結果的に承認されなかったが、病院側は業者の存在に気付かなかったという。
面識のない他人同士での生体移植は臓器売買の恐れが強いとされ、日本移植学会に実施例の報告はなく、医療機関が倫理委で検討すること自体極めて異例。同病院の担当医は「病気で苦しむ人を助けたいという臓器提供者の善意を生かしたかった」と説明している。
公的監視が届かない業者が移植の仲介役となることについて厚生労働省は「金品授受が行われかねず、臓器売買を禁じた臓器移植法違反になる恐れがある」と指摘。日本の移植医療を担う名門病院まで「臓器ビジネス」の舞台にしようとする業者の動きに、国や関係機関の対応が問われそうだ。