福岡県香春町採銅所の国道322号に「ラーメン橋」という看板が立っている。農道をまたぐ長さ2.3メートルの橋の名前だ。県の「橋梁(きょうりょう)台帳」にも登録されているれっきとした正式名称だが、近くにラーメン店は見当たらない。どうしてこんな名前がついたのか? 県に聞いてみた。【太田誠一】
「恐らく、橋の構造から名付けたのでしょう」。県田川県土整備事務所の職員はこう推測した。
ラーメン橋は、鉄筋コンクリートの箱を国道下の土盛りに埋める形で造られている。鉄筋コンクリートのように、部材の接合部が固定されている骨組みのことを、専門用語で「ラーメン構造」と呼んでいる。
県道路維持課によると、橋梁台帳には長さ2メートル以上の橋について、何らかの名称を載せるようにしているという。2メートルを30センチ超えていたこの橋も何らかの命名の必要に迫られ「当時の担当者が台帳に載せるため、ラーメン構造から名付けたのでは」(県田川県土整備事務所)というわけだ。看板は昨年2月、同事務所が台帳に従って立てた。
もっとも、台帳に記載された香春町のラーメン橋の読み方は、ひらがなで「らーめんばし」。あえて食べるラーメンを連想させるような命名に、命名者の遊び心がうかがえる。
実は香春町には、筑豊ラーメンで知られる全国チェーン「山小屋」の本店がある。同事務所の担当者は「町おこしという思いがあったのかも……」。真相は不明だが、橋の存在が筑豊ラーメンを盛り上げることにつながるか。
毎日新聞 2010年3月4日 14時26分(最終更新 3月4日 14時55分)