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米のプリウス「暴走」騒ぎは狂言の可能性も

2010年3月16日20時59分

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 【ニューヨーク=丸石伸一】トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」が、米カリフォルニア州で今月8日に「暴走した」とされる問題は、運転者の「狂言」である可能性が出てきた。ただ、トヨタはプリウスをはじめトヨタ車全体の調査を続けており、電子制御の欠陥の有無などを断定するには、まだ時間がかかる見込みだ。

 「(運転していた男性が説明した)状況と、調査結果は著しく矛盾する」。トヨタの米販売子会社の広報責任者、マイク・マイケルズ氏は15日、カリフォルニア州サンディエゴで開いた記者会見でこう説明した。

 「暴走」はサンディエゴの高速道で起きた。男性は「ブレーキがきかず、停車できなかった」などと説明。しかしトヨタの調査によると、エンジンやブレーキの制御システムに残されていた記録から、アクセルとブレーキを何度も交互に踏んでいたことが分かったという。速度を調節しながら暴走を演出していた可能性があり、一部の米メディアは男性の「狂言」を示唆している。

 同じ型のプリウスは昨年11月、アクセルペダルがフロアマットに引っかかる不具合により、ペダルを短くするなどのリコール(回収・無償修理)が発表されている。男性はトヨタの販売店に行ったが、部品がなかったため改修は行われていなかった。

 トヨタによるとこのプリウスは、アクセルをふかした状態でブレーキをかけると、速度が落ちるようになっていた。今後採用する「ブレーキ優先システム」とは厳密には違うが、似た機能という。車両に欠陥がなければ、男性が主張したような「時速90マイル(約145キロ)で走行を続けた」状況にはならない。

 ただ、米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)の調査結果は公表されていない。トヨタは「暴走」したとされるプリウスの各部品をさらに詳しく分析し、調査の最終結果を早期にNHTSAに報告するという。大規模リコール問題で指摘された電子制御システムの欠陥の有無についても、調査を続ける。

 また、NHTSAは15日、2007年の時点でトヨタにブレーキ優先システムの導入を検討するよう伝えていたことを明らかにした。伝えたことは前日、米紙ロサンゼルス・タイムズが報じており、米メディアの間では、トヨタの対応が後手に回ったことへの批判が続いている。

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