尿意切迫感に頻尿伴う「過活動膀胱」 半数以上が原因不明
2010/3/15 16:56 有病率は40歳以上の8人に1人といわれ、推定患者数810万人。急に尿意をもよおし我慢できない尿意切迫感と頻尿に悩まされる。この蓄尿障害の裏には、他の病気が隠れている可能性もある。早めに検査、治療でスッキリさせよう。
【原因不明の新疾患】
「過活動膀胱」は、2002年国際尿禁制学会で定義された新しい疾患名。尿を漏らす、漏らさないにかかわらず、「尿意切迫感」に「頻尿」が伴えば診断される。
獨協医科大学越谷病院・泌尿器科の岡田弘教授は「尿意切迫感や頻尿はさまざまな原因で引き起こされるが、実際には半数以上が原因不明。これらの症候に対して、以前はハッキリした診断(病名が付かなければ保険が利かない)が難しかった」と、新疾患ができた背景を説明する。
重篤な病気ではないが、近くにトイレがないと不安、バス旅行に行けないなど、QOL(生活の質)が低下するのが問題だ。
【原因探しが肝心】
健康な人は膀胱に200−400mlの尿をためることができ、8割ぐらいから尿意をもよおす。しかし、過活動膀胱の人は尿が100mlぐらいたまっただけで尿意をもよおし、我慢できない。何らかの原因で膀胱が過敏になり、自分の意に反して膀胱が収縮してしまうのだ。
「過活動膀胱は症状だけで名付けられた病気なので、まずは早めに近くのクリニックを受診して何が原因で起きているのか診断してもらうことが大切」(岡田教授)
脳卒中やパーキンソン病などの脳疾患、脊髄損傷の後遺症など、神経系のトラブルの疑いも考えられる。また、「前立腺肥大症の半数以上の人は過活動膀胱の症状が重なる」という。思い当たる主な原因がなければ、とりあえず過活動膀胱だ。
【薬の有効率は6割】
ところがそんなに甘くないのが実情。本当に過活動膀胱なら、トイレをできるだけ我慢して排尿の間隔を延ばしていく行動療法はかなり効果的。
また、薬物療法も膀胱の収縮を抑える抗コリン薬を2週間も服用していれば、本来なら症状が改善していくはず。だが、「実際、薬が効く人は6割」(岡田教授)というから一筋縄ではいかない。
残りの4割は、まだまだ別の原因が隠れている可能性があるという。
たとえば、糖尿病の初期や更年期障害でも頻尿が起こる。これらケースでは基礎疾患の治療をしなければよくならない。
「一部の前立腺がんや膀胱がん、また検査で発見できない小さい結石でも頻尿は起こる。薬を1−2カ月飲んでも改善しなければ、泌尿器の専門医に診てもらうべき」と岡田教授。
頻尿の原因はとってもビミョーなのだ。
★「過活動膀胱」チェックリスト
(1)急に尿がしたくなってトイレに駆け込むことが1週間に1回以上ある
(2)日中に8回以上、トイレ(尿)に行く
(3)就寝中に1回以上、トイレ(尿)に起きる
(4)尿意をもよおして10分以上我慢できない
(5)我慢をできずに尿を漏らしたことがある
(6)いつも近くにトイレがないと不安である
※(1)と(2)か(3)が該当すれば疑いがある。加えて他も該当すれば可能性が高い。獨協医科大学越谷病院・泌尿器科/岡田弘教授作成
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獨協医科大学越谷病院・泌尿器科の岡田弘教授は「尿意切迫感や頻尿はさまざまな原因で引き起こされるが、実際には半数以上が原因不明。これらの症候に対して、以前はハッキリした診断(病名が付かなければ保険が利かない)が難しかった」と、新疾患ができた背景を説明する。
重篤な病気ではないが、近くにトイレがないと不安、バス旅行に行けないなど、QOL(生活の質)が低下するのが問題だ。
【原因探しが肝心】
健康な人は膀胱に200−400mlの尿をためることができ、8割ぐらいから尿意をもよおす。しかし、過活動膀胱の人は尿が100mlぐらいたまっただけで尿意をもよおし、我慢できない。何らかの原因で膀胱が過敏になり、自分の意に反して膀胱が収縮してしまうのだ。
「過活動膀胱は症状だけで名付けられた病気なので、まずは早めに近くのクリニックを受診して何が原因で起きているのか診断してもらうことが大切」(岡田教授)
脳卒中やパーキンソン病などの脳疾患、脊髄損傷の後遺症など、神経系のトラブルの疑いも考えられる。また、「前立腺肥大症の半数以上の人は過活動膀胱の症状が重なる」という。思い当たる主な原因がなければ、とりあえず過活動膀胱だ。
【薬の有効率は6割】
ところがそんなに甘くないのが実情。本当に過活動膀胱なら、トイレをできるだけ我慢して排尿の間隔を延ばしていく行動療法はかなり効果的。
また、薬物療法も膀胱の収縮を抑える抗コリン薬を2週間も服用していれば、本来なら症状が改善していくはず。だが、「実際、薬が効く人は6割」(岡田教授)というから一筋縄ではいかない。
残りの4割は、まだまだ別の原因が隠れている可能性があるという。
たとえば、糖尿病の初期や更年期障害でも頻尿が起こる。これらケースでは基礎疾患の治療をしなければよくならない。
「一部の前立腺がんや膀胱がん、また検査で発見できない小さい結石でも頻尿は起こる。薬を1−2カ月飲んでも改善しなければ、泌尿器の専門医に診てもらうべき」と岡田教授。
頻尿の原因はとってもビミョーなのだ。
★「過活動膀胱」チェックリスト
(1)急に尿がしたくなってトイレに駆け込むことが1週間に1回以上ある
(2)日中に8回以上、トイレ(尿)に行く
(3)就寝中に1回以上、トイレ(尿)に起きる
(4)尿意をもよおして10分以上我慢できない
(5)我慢をできずに尿を漏らしたことがある
(6)いつも近くにトイレがないと不安である
※(1)と(2)か(3)が該当すれば疑いがある。加えて他も該当すれば可能性が高い。獨協医科大学越谷病院・泌尿器科/岡田弘教授作成
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2010/3/15 16:56 更新