新世紀マナちゃん♪

そのいち 【再び、使徒襲来】


 

 

 日本国、第三新東京市。

 かつて、この場所に使徒と呼ばれる謎の生命体が襲来し、国連の非公開組織『特務機関ネルフ』の開発した『エヴァンゲリオン』と呼ばれる決戦兵器に、チルドレンと呼ばれる当時14才の少年少女達が乗り込み、これに対抗した。

 そして幾多の戦いを乗り越え、襲来してきた使徒はエヴァンゲリオンによって全て撃退された。

 そう、全て撃退したはずだったのだ。

 だが、最後の使徒襲来から十年後の2025年。使徒は再び、第三新東京市に襲来してきた。

 

***

 

 ネルフ本部、発令所。

 

 「――正体不明の物体、海面に姿を現しました!」

 「物体を映像で確認!!」

 「メインモニターにまわします」

 発令所は慌しくなった。

 その喧騒の中、落ち着いた様子で会話を交わす男たち。

 「10年ぶりだな、六分儀……」

 と、ネルフ副司令の冬月コウゾウが、自身の斜め前に座っている、総司令の六分儀ゲンドウに話し掛けた。

 「ああ、間違いない。使徒だ」

 ゲンドウは、顔の前で手を組んだ。

 「さて、どうやって倒したものか。エヴァはあっても、現在の本部にはパイロットがいない……」

 と、ゲンドウは、独り言のように呟いた。

 

 かつて、幾多の使徒を倒してきたチルドレン。

 碇シンジ。惣流アスカ・ラングレー。鈴原トウジ。

 24才となった彼ら3人は、すでにエヴァにシンクロ出来なくなってしまっていたのだ。

 現時点でエヴァにシンクロ出来るパイロットは、アスカと共にドイツ支部に出向中の綾波レイただ一人しかいない。

 ゆえに、ゲンドウの心配は当然の事であろう。

 

 「――大丈夫だ、六分儀」

 冬月が口元に微笑を浮かべながら、口を開いた。

 「こんな事もあろうかと、すでにパイロットは用意してある」

 「何だと。綾波レイ以外にパイロットがいるのか?」

 ゲンドウの疑問に、冬月は悠然と頷いた。

 「ああ。今、碇一尉に、第三新東京駅に迎えに行ってもらっているところだ」

 「誰なのだ? ま、まさか……」

 ゲンドウの顔は青ざめた。

 「まさか、アレを呼んだのではなかろうな?」

 「アレとは?」

 「マナだ……」

 「自分の娘を、アレと呼ぶ事はなかろうが……」

 「答えろ、冬月! マナを呼んだのか!!」

 「ああ。お前の娘だからシンクロ出来る可能性は高い。呼ぶのは当然だろう」

 「ば、ばか者!!」

 パチン!

 冬月が指を鳴らすと、二人の黒服が背後にススっと忍び寄りゲンドウを拘束した。

 「――な、何の真似だ、冬月!」

 「3年ぶりの親子の再会だ。六分儀、さぞ嬉しかろう。

 それでな。舞いあがったお前が、どこかに逝ってしまわぬようにとの、私の配慮だ」

 「な、何が配慮だ!!」

 「そうか、そんなに嬉しいのか……」

 「誰が嬉しいものか! 私はイヤダァーー!!」

 身をよじって嫌がるゲンドウの叫びは、見事に黙殺されるのであった。

 

***

 

 「ここが、第三新東京市かぁ……」

 第三新東京駅に降り立った私は、殺風景な駅前広場を見回した。

 自己紹介が遅れたが、私の名前は霧島マナ。

 母親は10年前に他界。父親は健在。人類を守る立派な仕事をしている。

 そんな事情も手伝って、私は小さい時に父と離れ、親戚の叔父さんの家に預けられた。

 父である六分儀ゲンドウとは、2、3年に一度は会ってはいたけど、親子らしい会話をした覚えはない。

 そんな父から会いたいとの手紙を貰った時、私は天にも登る思いだった。

 ただ、やっぱりというか当然とも言おうか。

 人類を守る立派なお仕事をしている父さんは、忙しい身だ。

 そんなわけで、私を迎えに来てくれるのは、父の部下というお兄さんだった。

 私は胸をときめかせながら、送られてきた写真を取り出す。

 彼の名前は、碇シンジ。写真の印象からすると、年齢は20代前半くらいかな。

 ほっそりとした、どことなく中性的な感じのお兄さん。

 美形である。

 私は、シンジさんの写真を胸に抱き締めた。

 「シンジさん、早く来ないかな……」

 何やら、シェルターに避難しろとかどーとかいう警報が鳴らされているようだが、私には何の関係もないわ。

 

 数分後、トヨタ『ヴィッツ』に乗って、シンジさんがやって来た。

 「もう、遅いわよぉ。私、来ないんじゃないかって、すっごく不安だったんだからぁ」

 と、私は、ちょっと拗ねてみせた。すると、シンジさんは、

 「ゴメン、ゴメン」

 と、少し頬を染めて謝った。

 ウフフ。結構、ウブなんだ。

 

***

 

 「――もう、遅いわよ!!」

 ガキッ!

 「私、来ないんじゃないかって!!」

 ガキッ! ガキッ!

 「すっごく不安だったんだからーー!!」

 ギュウウウウウウウウウウウウウウウウゥ!!

 「ギャアアアアーー!!

 ゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメン!!」

 かつてのエヴァ壱号機パイロットにして、今はネルフの若き作戦部長である碇シンジは、マナに一分の隙もない卍固めを極められ、顔を真っ赤にして泣き叫んだ。

 (――た、確かに約束の時間に遅れたのは事実だよぉ!!

 それに相手は司令のお嬢さんだよぉ!!

 でも遅れたって、たった一分じゃないかぁ!!

 なのに何で初対面の女の子にいきなり卍固めをかけられなくちゃいけないんだよぉーー!!)

 マナに力強く卍固めで締め上げながらシンジは、その不条理に泣いた。

 「どおおおおおおおおりゃあああああああぁーー!!」

 「ぎえええええええええええええぇぇぇぇーー!!」

 

***

 

 私はシンジさんの案内で、ネルフ本部の中にある、ケージとかいう場所に連れて行かれた。

 そこで私は、驚くべきものを目撃する事になる。

 噂でしか聞いた事がなかった、10年前に使徒とかいう怪獣をやっつけたロボット『エヴァンゲリオン』。

 私が見たのは、世界に3機あるうちの一機。紫の巨人、エヴァンゲリオン壱号機である。

 これは、かつて、シンジさんが乗った機体だそうだ。

 でも、何で、こんなものを私に見せてくれたのだろう?

 

 その疑問は、しばらくしてやって来た、父さんによって明らかにされた。

 再びこの第三新東京市に、使徒と呼ばれる怪獣が襲来してきたので、エヴァ壱号機に乗って使徒と戦えと父さんは無常にも私に命令したのだ。

 私は泣いた。泣いて拒否した。こんな事のために私を呼んだのかと思うと、とてつもなく悲しかった。

 

***

 

 「こんなのにいきなり乗れだとぉ!! ざけんじゃないわよ!!」

 「ムガガガガガガガガガ!!」

 電光石火、マナはゲンドウをうつぶせに蹴り倒し、その背中に馬乗りになって、キャメルクラッチを極めていた。

 

 当初ゲンドウは、マナの手が届かない管制室の中から説明するつもりだったのだが、冬月の画策でマイクの電源を切られてしまい、やむなくケージに降りてきたのだが……。

 エヴァに乗って使徒と戦ってくれないかと言った瞬間、ゲンドウはマナのキャメルクラッチの餌食となってしまったのだ。

 

 「アチョオオオオォォォォーー!!」

 「モガモガガァァァーー!!(だ、だから、私は、マナを呼ぶのはイヤだったんだぁーー!!)」

 

 そんなゲンドウ&マナの姿に、ケージにい合わせた整備員たちは歓声をあげていた。

 中には、ビデオ・カメラで撮影をする者までいる。

 ネルフ総司令、六分儀ゲンドウ。彼は人気がなかった……。

 

 結局、失神してしまったゲンドウに代わり、シンジがマナの説得役にまわったのだが……お約束である。

 先程のゲンドウ同様、エヴァに乗ってくれないかと問いかけた瞬間、シンジもまたマナの一分の隙もない卍固めの餌食となってしまった。

 

 「どおおおおおおおおりゃああああああああぁぁぁぁーー!!」

 「ぎええええええええええええええええぇぇぇーー!!」

 

 (ま、また卍固め!! 何で、僕がこんな目に!!

 それに、何で……。

 何でこんな人格破綻娘を、僕の青春のエヴァ壱号機に乗せなくちゃいけないんだよぉぉーー!!)

 

 そんなシンジ&マナの姿に、ケイジにい合わせた整備員たちは歓声をあげていた。

 中には、ビデオ・カメラで撮影をする者までいる。

 ネルフの若き作戦部長の碇シンジは、女子職員には絶大なる人気を誇っていたが、その反動で男子職員には殺意に近い敵意を抱かれていたのだ。

 

***

 

 私は結局、エヴァに乗って、使徒という怪獣と対峙する事を余儀なくされた。

 本当に心苦しそうに、私にエヴァに乗ってくれないかと頼むシンジさんの姿を見ていられなくなったからだ。

 エヴァとのシンクロ率は、46%。

 シンジさんによると、この数字は、初めてとは信じられないくらいにいい数値だそうだ。

 シンジさんに誉められて、ちょっと嬉しい。

 

***

 

 紆余曲折を経て、エヴァ壱号機の発進準備は着々と進んで行く。

 

 <――第一ロックボルト解除!>

 <解除確認。アンビリカルブリッジ移動!!>

 <第一第二拘束具除去!>

 <一番から十五番までの安全装置解除!>

 <内部電源充電完了! 外部電源コンセント異常なし!!>

 <エヴァ壱号機、射出口へ!>

 <五番ゲートスタンバイ!>

 壱号機は、射出口に固定された。

 <進路クリアー、オールグリーン!>

 <エヴァ壱号機、発進準備完了!>

 

 (――発進準備完了か)

 シンジは振りかえって、司令塔のゲンドウ――は、いない。

 ゲンドウはマナに痛めつけられたダメージが回復せず、冬月の手によって治療をするとの名目で司令室に拘束されていたのだ。

 仕方ないので、シンジは、

 「副司令。かまいませんね?」

 と、冬月に確認した。

 「もちろんだ。使徒を倒さぬ限り、我々に未来はないのだからな。

 まあ、六分儀の未来はどうでもいいが……」

 淡々とした冬月の答えに、シンジは無言で頷いた。

 「エヴァンゲリオン壱号機発進!!」

 バシュー!

 シンジの号令と共に、壱号機は地上に向かって射出される。

 そして、エヴァンゲリオン壱号機は、10年ぶりにその姿を地上に現わした。

 

 発令所の大型モニターに使徒と対峙する壱号機の姿が映し出される。

 早速シンジは、マナに通信をいれた。

 「――いいかい、マナちゃん?」

 <よくない!>

 「はいっ?」

 <だって、あれ気持ち悪いモン! あんなのと戦うなんて、私、嫌っ!>

 「い、嫌って……」

 マナの答えを聞き、シンジは絶句した。

 「で、でも、アレと戦ってくれないと、困るのだけど……」

 <ヤダったらヤダっ!>

 「マナちゃ〜ん!」

 我がまま娘マナちゃんに、シンジは泣きたくなった。

 

 「――しかたないな」

 司令塔の冬月は、発令所の大型モニターの中のマナに視線を向けた。

 「マナ君、聞こえるかね」

 <聞こえるわよ、冬月のじじい! 私はあんたと違って、耳は遠くなってないもの!!>

 ピクッ!

 一瞬、冬月は額に血管を浮かびあがらせたが、何事も聞こえなかったように口を開いた。

 「君のお父さんからの伝言だ。よーく聞き給え」

 <父さんからの伝言?>

 マナは、訝しげに聞き返した。

 ピッ!

 冬月がボタンを押した瞬間、発令所に、ゲンドウの野太い声が響き渡る。

 ≪くおの茶髪オカマが、我侭言うのもええかげんにせんかぁーい!!

 文句があるのなら、使徒を倒した後で司令室に来い!!

 私は、お前のような茶髪オカマから逃げも隠れもせんぞ!!≫

 <茶、茶髪オカマ……>

 マナの声は震えていた。

 この時、発令所の職員達(シンジ&冬月を除く)は、ゲンドウのマナに対する『茶髪オカマ』発言は、あまりにも非道いと思った。

 これが実の娘に対する父親の言葉なのか。

 この瞬間、ネルフ職員のゲンドウの支持率は、−400%に達した。

 無論、これはゲンドウ自身が言った言葉ではない。

 いかにゲンドウでも、このような発言を愛娘たるマナに言うはずがなかった。

 種を明かせば、これはMAGIによるコンピューター・ヴォイスである。

 しかし、その事実を知っているのは、副司令冬月、ただ一人であった。

 おもむろに冬月は、マナに話しかける。

 「さあ、マナ君。君の目の前にいる使徒を見たまえ。

 気持ち悪いと言う点に置いては、六分儀そのものだとは思わんかな?」

 <思う!>

 即答するマナ。

 「ならば、マナ君。今の君の怒りを、六分儀の化身たる使徒にぶつけるのだ!!」

 <やってやるわぁーー!!>

 

 マナの操る壱号機は、無造作に『ボキッ!!』っと兵装ビルを根元から叩き折って頭上に構え、『ズンズンズン!!』と、ガニ股で使徒に向かった。

 そんな壱号機の姿に、使徒は後ろに引く構えを見せる。

 「――まさか、使徒が怯えている?」

 シンジは、訝しげに思いながら呟いた。

 

 その通りだった。

 使徒は、壱号機に背を向け、一目散に逃げ出したのだ。

 途端に発令所にマナの怒号が響き渡る。

 <待たんかぁーー!! ブチ殺してやるぅーー!!>

 

 壱号機は、兵装ビルを使徒に投げつけた。

 バカァーーン!! 見事命中。使徒は、動きを止める。

 ピョォ〜〜〜〜〜〜〜〜ン!!

 壱号機は飛びあがって、頭上から使徒に襲いかかった。

 

 キイイイイイイン!!

 すぐさま使徒は、頭上にATフィールドを発生させる。

 しかぁーし!

 

 バチィーーン!!

 壱号機は、一瞬のうちにATフィールドを粉砕!

 「○×△□ーー!!」

 使徒は成すすべもなく、壱号機(マナ)の餌食となった。

 

 <どおおおおおおおおりゃああああああああぁぁぁぁーー!!>

 発令所に響き渡るマナの奇声。大型モニターに映される、マナの闘魂に満ちた形相。

 何と壱号機は、首のない使徒に卍固めを極めていたのだ。

 ギリギリギリ!!

 <○×△□ーー!!>

 使徒は悲鳴(?)をあげていた。

 

 「あ、あれが、僕の、壱号機……?」

 シンジは呆然と呟いた。

 その時、シンジの脳裏によぎったものは……。

 

 『アスカ……』

 『シンジ……』

 最後の使徒を倒した後、エヴァ壱号機と弐号機に見守られながら交わした、アスカとのファースト・キス……。

 

 だが、今のシンジの目の前にあるのは……使徒に卍固めを極める壱号機。

 そして、シンジの耳に入るのは……マナの奇声と使徒の悲鳴。

 

 「ひ、ひ、ひ……」

 シンジは、フラフラと倒れそうになった。

 「「碇一尉!!」」

 ドドドドドドドドドドドドドドドド!!

 その時、発令所にいた全女子職員がシンジに駆け寄る。

 そのままシンジは、女子職員達の手によって、いずこかに拉致された。

 

 数分後。

 おもむろに壱号機は、卍固めを解いた。見るも無残に崩れ落ちる使徒。

 

 <フッフッフ……。今度は、どうしてやろうかしらぁ……>

 発令所に響き渡る、マナの不気味な声。

 そして、大型モニターに映し出される、両手を広げ指をクネクネさせて、使徒に迫る壱号機。

 

 この時、発令所に残った男子職員達は、一様に思った。

 ((あの使徒、哀れだなぁ……))

 さらに、発令所に残った男子職員達は、一様に思った。

 ((あれじゃ茶髪オカマでも仕方ないかぁ……))

 

 結局使徒は、壱号機(マナ)に散々に痛めつけられたあげく、自らコアを破壊し自爆(自殺?)を遂げた。

 

 エヴァ壱号機(マナ)。使徒、殲滅。

 

***

 

 私は使徒との戦闘については何も覚えていない。気がついたら、私とエヴァ壱号機は、ケイジに回収されていたのだ。

 どうやら、使徒は撃退できたそうだ。

 でも倒した記憶がないのに誉められても、ちょっとアレかな……。

 

 戦闘終了後、私は、冬月のオジさん(おじいさんかな?)に、父さんの待つ司令室へと案内された。

 冬月のオジさんは私に、

 「お父さんにいっぱい甘えるんだよ。君は立派によくやったのだから」

 と、言ってくれたんだけど、何か照れくさいなぁ。

 

***

 

 司令室。

 「よ、よくやったな、マナ……」

 ゲンドウは、おどおどと、入室してきたマナに話しかけた。

 しかしマナは、無言でゲンドウを睨みつける。

 「……」

 「な、何なのだ、その目は?」

 「誰が、茶髪オカマですってぇ」

 「何?」

 「文句があるのなら、使徒を倒した後で司令室に来いぃ……。

 私は、お前のような茶髪オカマから逃げも隠れもせんぞぉ……ですってぇ。

 よくもつらつらと……」

 「な、何の事だ、マナ……?」

 「とぼけんじゃないわよっ!!」

 と、その時だ。

 ≪くおの茶髪オカマが、我侭言うのもええかげんにせんかぁーい!!

 文句があるのなら、使徒を倒した後で司令室に来い!!

 私は、お前のような、茶髪オカマから逃げも隠れもせんぞ!!≫

 先ほど、発令所に流れたゲンドウの茶髪オカマ発言が、司令室に響き渡った。

 「な、何なのだ、これは!?」

 「フッフッフ……。これでも、白を切るつもりなの……」

 「な、な……」

 恐怖に歪むゲンドウの表情。

 事、ここに至って、ゲンドウはようやく気がついた。

 (わ、わかったぞ! これは冬月の画策なのだ!! 

 お、おのれ、冬月!!)

 「この変態親父ぐわぁーー!!」

 ピョ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!!

 バキッ! ドサッ!! ドンッ!! ガシィィィ!! ギュウウウウウウウウウウウウウ!!

 マナは飛び上がって、頭上からゲンドウに襲い掛かり、電光石火、容赦のないキャメルクラッチを極めた。

 

 「アチョオオオオォォォォーー!!」

 「モガモガガァァァーー!!」

 

***

 

 司令室で待っていた父さんは、私に、ただ一言。

 「よくやったな、マナ」

 と、言ってくれた。

 嬉しい。とても嬉しい。

 私は、その一言が聞きたかったのだ。

 ここに来てよかったと、私は心からそう思った。

 

***

 

 そう、私はマナが怖かった……。

 だからマナを、自分から遠ざけた。

 その報いが、この有様か。

 すまなかったな、マナ……。

 

***

 

 「モガモガモガモガモガァーー!!(マナ、許してくれぇーー!!)」

 「アチョオオオオォォォォーー!!」

 

 司令室には、いつまでも、マナ&ゲンドウの奇声が響き渡っていたそうだ。

 

 


そのいち 【えんど】 マナちゃん♪ うぃる・りたーん