民主党都議団の会議に出席した漫画家の永井豪さん、ちばてつやさん、里中満智子さんら(前列左から)=15日午前、東京都庁
「あしたのジョー」などの作品で知られる漫画家のちばてつやさん(71)らが15日、東京都が漫画やアニメの児童の性行為描写を規制するため、定例議会に提出した青少年健全育成条例の改正案に対し、都庁で記者会見などを開き「表現の規制は危険」と反対をアピールした。同じく漫画家の里中満智子さん(62)、永井豪さん(64)も反対した。
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ちばさんは、都議会最大会派の民主党の会議に出席。「規制することで文化の元気がなくなる例を見ている。(規制は)読者の気持ちで決めてもらいたい」と述べた。
都庁内で集会を開き、出版関係者ら約300人が参加。里中さんは「この世に存在しない少女らの画像を被害者扱いするのはおかしい。東京都にほとんどの出版社が集まっており、日本全体の問題だ」と主張。
永井さんは「日本の漫画界発展の基盤は自由に描けること。規制で漫画産業が疲弊したらつまらない国になる」と訴えた。
一方、東京都小学校PTA協議会は15日、都議会各会派に「児童が性的対象になることが野放しの状態」として、改正案の成立を要望した。
改正案は、漫画などで服装や学年などから18歳未満と判断される子供を「非実在青少年」と定義。こうした子供への性行為を描写した作品は、青少年に販売しないよう業界に自主規制を求める。
これらのうち、性暴力など著しく反社会的な内容の作品は、青少年への販売・閲覧を禁止する不健全図書に指定すると規定した。
改正案は19日の都議会総務委員会で採決される。
ちばさんは「あしたのジョー」、里中さんは「アリエスの乙女たち」、永井さんは「デビルマン」などの作品で知られる。