【第117回】 2010年03月16日
キム・ヨナやサムスンに“脅威論”が噴出
「日本はもう韓国に勝てない」は本当か?
五輪でのキム・ヨナの圧勝が
拍車をかけた“韓国脅威論”
日本はもう韓国に勝てないのではないか――。バンクーバー五輪が終わった後、日本でそんな世論がにわかに広まっている。
その背景には、五輪の女子フィギュアスケートで、優勝を期待されていた日本の浅田真央選手が、韓国のキム・ヨナ選手に敗れたことが影響していると言われる。
スポーツ分野ばかりではない。産業分野では、電機メーカー各社が熾烈な開発競争を繰り広げている薄型テレビ市場などで、韓国のサムスンがいつの間にか世界最大のシェアを握っているのが現実だ。
日本の「お家芸」と言われたエレクトロニクスで最も勢いがあるのは、「今やパナソニックでも東芝でもソニーでもない」という見方もある。
では、「日本はもう韓国に勝てない」という“韓国脅威論”は、本当だろうか?
経済面で見れば、確かに最近の韓国企業の躍進は目覚しい。IT分野などでは、すでにわが国企業が韓国企業の後塵を拝するケースが多くなっている。
連載第92回でも詳しく述べた通り、韓国企業の強さの要因としては、まず一握りの財閥のパワーが圧倒的に大きいため、少数の有力企業に技術者などの経営資源が集中していることが上げられる。
また、人口約4800万人(世界26位)、GDP約9500億ドル(同15位)を誇る韓国の政府当局は、強力な産業政策によって、主力輸出企業をサポートする姿勢を鮮明に示していることも強力な追い風になっている。
ある韓国通は、「サムソンはある意味で韓国そのもの」と指摘していた。言い換えれば、一部の有力企業は公的な支援を受けながら、効率的に経営を行なうことが可能になっている。
ただ、成長著しい韓国の対日貿易収支が赤字傾向を続けていることは、あまり知られていない。2009年の韓国の貿易収支(暫定値)は、409億8000万ドル(約3兆8100億円)と史上最高の黒字だった。
Special Topics
バックナンバー
- 第117回
- キム・ヨナやサムスンに“脅威論”が噴出 「日本はもう韓国に勝てない」は本当か? (2010年03月16日)
- 第116回
- 日本はギリシャの二の舞になるのか? 戦後最大の「大赤字予算」の行方 (2010年03月09日)
- 第115回
- トヨタのリコール騒動は他人事にあらず! クルマより重要な創業家社長の“品質” (2010年03月02日)
- 第114回
- 米国の公定歩合引き上げでわかった 世界経済を脅かす「地雷の在りか」 (2010年02月23日)
- 第113回
- 新興国の信用不安が主要国にも飛び火? 市場を凍りつかせる「金融危機の大連鎖」 (2010年02月16日)
- 第112回
- 「子ども手当」の満額支給に黄信号! 今こそ問う“誇大広告政治”の功罪 (2010年02月09日)
Pick Up
新着トピックス
- 週刊ダイヤモンド 企業特集
- ユニー 前村哲路社長インタビュー 「現場の自由裁量権を広げ 個店経営のウエートを高める」
- 家を買う!妻とのケンカを乗りこえて
- しっかり者の妻が豹変!? マイホーム買い物症候群とは
- 『社会貢献』を買う人たち
- キレイになって、途上国を支援! 女性の飽くなき「美への探求」が生んだ、一石二鳥のビジネスモデル
- DOL Zoom Up!
- 意外と低い“ファストファッション”認知度 ユニクロに勝つための各社の戦略とは?
- 広瀬隆雄 世界投資へのパスポート
- FRBメンバー交代でも体制に変化なし! むしろ、信認を取り戻すために必要だ!!
- 藤井英敏 株式市場サバイバル!
- 世界的なスマートグリッド構築に 向けた動き加速で注目する銘柄群
- 今週のキーワード 真壁昭夫
- キム・ヨナやサムスンに“脅威論”が噴出 「日本はもう韓国に勝てない」は本当か?
- 政局LIVEアナリティクス 上久保誠人
- 参院選がどう転んでも、 政界の「世代交代」加速は止められない
- 『週刊ダイヤモンド』特別レポート
- 県が格安で手に入れた茨城空港 「軍民共有化」というカラクリ
ダイヤモンドオンラインplus 知っておきたい価値ある情報
最新の連載一覧
経済・時事
経営・戦略
スキル・キャリア
Diamond Premium 最新記事 無料会員登録すると全文が読めます
- 山崎元のマネー経済の歩き方
- 対等合併の呪
- 野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
- 総需要の減少をもたらした2つの要因 ──今こそ必要なデフレの経済学(5)
- 原英次郎の「強い中堅企業はここが違う!」 トップに聞く逆境の経営道
- 段ボール業界随一の原価計算の鬼! アースダンボールに学ぶネット販売の真髄 ~奥田敏光社長に聞く(下)
- 週刊ダイヤモンド 企業特集
- 【企業特集】ユニー 提携と差別化戦略で狙う “超”地方小売りチェーン
- 金融市場異論百出
- 「やり過ぎ」とブーイングを 浴びるFRB、正反対の日銀
- 週刊ダイヤモンド アーカイブズ
- クリス・アンダーソンとロングテール理論をおさらい!ネットが動かしたニッチ商品の驚くべき市場規模
- 『週刊ダイヤモンド』特別レポート
- 日本のテレビ業界が復活するには 「キー局の合従連衡」が待ったなし
- 「測るための標準」を考える
- 紀元前2500年頃に造られたピラミッドの建築に当たっては、常に同じサイズの石を…
- DOL編集部のツイッターを開始
- 最新記事の話題から編集部の日常まで、24時間つぶやきます。フォローよろしくお願いします。
Business information
著者プロフィール
- 真壁昭夫
(信州大学教授)
1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。
この連載について
経済・ビジネス・社会現象……。いま世の中で話題となっているトピックス、注目すべきイノベーションなどに対して、「キーワード」という視点で解説していきます。
アクセスランキング
- 1位
- 「引きこもり」するオトナたち
- 成績優秀なのに仕事ができない “大人の発達障害”急増の真実
- 2位
- はい上がれる人、はい上がれない人――「負け組社員」リベンジの十字路
- “人生の負け組”が勢ぞろい! 負け組リベンジの名門「奇跡の屋台ラーメン」
- 3位
- 業界別 半年先の景気を読む
- 市場規模はピーク時の6分の1!? バイク業界にみる縮小市場で生き残る方法
- 4位
- Close-Up Enterprise
- セイコーHD株主代表訴訟へ 不透明経営に批判
- 5位
- エコカー大戦争!
- トヨタの電子制御問題に隠れた事実! アメリカ人特有のアクセルの踏み方
Recommend 話題の記事
- 野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
- 総需要の減少をもたらした2つの要因 ──今こそ必要なデフレの経済学(5)
- 今週の週刊ダイヤモンド ここが見どころ
- あなたは保険会社に騙されている!? 「保険見直し」のバイブルが登場
- はい上がれる人、はい上がれない人――「負け組社員」リベンジの十字路
- “人生の負け組”が勢ぞろい! 負け組リベンジの名門「奇跡の屋台ラーメン」
- 業界別 半年先の景気を読む
- 市場規模はピーク時の6分の1!? バイク業界にみる縮小市場で生き残る方法
- 経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”
- NTTグループには大誤算? 原口総務相の経営形態見直し指示
- News&Analysis
- やはり“持ち直し局面”入りは確実? データと巷説に見る「住宅の本当の買い時」
- IT&Business
- サイバー攻撃の増加で注目度急上昇! マカフィーが誇るセキュリティ技術の中身
- 【PrimeTime】トップインタビュー
- 「サービス力は人財力と組織力の掛け算」~百瀬次生・日立電子サービス社長
- 【THEProject】プロダクトとサービス最前線
- 現実味帯びる「IFRS」。最新会計基準対応処理システムを低コストで提供
雑誌定期購読のご案内
特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約13冊分お得です。さらに3年購読なら最大49%OFF。
1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。
年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。
偶数月の1日発売(隔月刊)。1年購読(6冊)すると、市販価格 5,880円→4,700円(税・送料込)で、20%の割引!
※別冊・臨時増刊号は含みません。
お知らせ・ご案内
- 会員専用ページ開始のお知らせ
- 7月より一部の記事で、無料会員登録した方だけが全文を読める形に変わりました。詳細はこちらをご覧ください。