岐阜大学医学部付属病院(岐阜市)は15日、救急搬送時に患者のたらい回しを防ぐため、インターネットやカーナビの技術を応用して救急患者の最適な搬送先を瞬時に割り出す「車載IT(情報技術)を活用した緊急医療体制の構築」システムを報道陣に公開した。経済産業省からの委託事業で、12年度までの4年間に総事業費8億円をかけて実用化を目指す。
従来は、救急車の救急隊員が近くの救急指定病院に電話し、患者の受け入れ態勢が整っているかを、その都度問い合わせていた。新しいシステムでは、救急車内に取り付けられたカメラを通して医療機関の医師が患者の容体を知ることができる。救急車の救急隊員も、医療機関のベッドの空き状況や、応急処置できる医師が何人いるかを瞬時に知ることができる。最終的には、消防本部が判断して搬送先の病院を決める予定という。
システム開発にかかわった、自動車や電機メーカーなど民間企業と大学で作る「インターネットITS協議会」(東京都港区)の時津直樹事務局長(64)は「新しい技術は既存の技術を応用しており、救急医療の分野で標準化できるシステムだと思う」と話している。【山田尚弘】
毎日新聞 2010年3月16日 地方版