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#14 市橋達也君に適正な裁判を-緊急支援要請(2010年2月20日、追記3月15日(最新)) 
 


 市橋君が身柄を確保されたのは昨年の11月10日だから、すでに3ケ月以上が経過したことになる。人気横綱の引退や有力政治家の不起訴決定や冬季オリンピック開催など、注目を集める新しいニュースが毎日どんどん出てくるので、市橋君に対する社会の関心は薄れつつあるようにも見える。メディアからの取材申し込みも、潮が引くように来なくなった。私にとっては、元学生はどんなに時間が経過しても元学生なので、重大犯罪の被疑者・被告人になっているとはいえ、彼が現在どういう身体的、精神的状態にあるのか、常に気がかりである。できれば一日も早く面会(接見)したいと思って、友人の弁護士を通して紹介してもらった市橋君の弁護を担当している菅野 泰(スゲノ ヤスシ)弁護士と電話で会話をしたが、まだ当分は裁判所のルールで弁護士以外は接見禁止のようだ。菅野弁護士も私が本サイトに書いた記事(#9#10)については御承知で、最近私に会いたいとの申し出をいただいたので、1月28日に法律事務所にお訪ねし、一緒に弁護を担当している山本宏行弁護士も同席した中で市橋君の置かれている最近の状況を伺ってきた。

 秋葉原の無差別殺人犯の弁護士に対して、ネット上に何故あんな凶悪犯を弁護するのだといった非難の書き込みがあるそうだが、市橋君の弁護を引き受けるにはそれなりの覚悟が必要なのだろう。千葉県弁護士会の中に、弁護人のいない被疑者にも弁護士を派遣する制度を立ち上げた菅野弁護士の呼びかけで、6人の弁護士が手を挙げて市橋君の弁護を引き受け、二人一組のチームを作ってこれまで毎日交代で接見してきたとのこと。

 昨年11月、警察に追い詰められて逃げ場を失った市橋君は、沖縄行の船に乗り損ねた時は、もうどこかで野垂れ死にするしかないと覚悟していたそうだが、身柄を拘束された後は拘置所の中で絶食死しようと考えていたらしい。それが、弁護士の説得で食事も摂るようになり、弁護士との信頼関係も徐々に培われ、ついに3年前の事件の全容も話したようだ。独房の中の市橋君は、裁判で刑が確定するまでは推定無罪の原則で、ラジオを聴くことも新聞を読むこともできる状況とのこと。日英語併記の聖書と英語の辞書を差し入れてもらったそうなので、英語の勉強を続けながら聖書を読んで自分の犯した罪と毎日向き合っているのかもしれない。 

 こういう様子をご両親にお伝えしたいと思って、先月末に所用で名古屋に行ったついでに足を伸ばして岐阜県の実家を予告なしで訪問してみたが、残念ながらお会いできなかった。しかし、郵便受けに残してきた私のメモに対して、お父様・お母様から丁重なお手紙をいただいた。私と会えなかった非礼のお詫びに続いて、学生時代から私に空手の指導を受けていたことを息子から聞いていたこと、事件直後から私が市橋君に自首を呼びかけてくれた(テレビに出演して)ことへのお礼、息子のしたこととその結果として息子が置かれている現在の状態に直面して、身を切られるような思いと苦しい胸中が切々と記してあった。こういう状態にある息子を親として抱きしめてやりたいと思う半面、リンゼイさんの失われた命とそのご家族の悔しさ、悲しみ、事件が社会に与えた影響を考えると、息子をかばう行為は許されないので、これからも息子にも弁護士にも会わず、ただ遠くで裁判の行方を見守るしかないとの決意(それが親としての責任の果たし方とのお考えで)を固めておられると見受けられた。 

 私には詳細はわからないが、ご両親とも医師としての職業もお辞めになったと聞いた。事件発生以来3年以上も連絡を絶ったままの息子の窮状を思えば、どんなにか会って声をかけたいだろうに、自らを厳しく律しておられる様子。リンゼイさんのご冥福と、息子の身体、精神的安楽へと導かれることを願い祈っているとの言葉に、どうすることもできないつらい親の心を感じた。また、会えなくても息子には自分たちの気持は通じると信じているとの言葉に、このご家族には、私たちの想像を超えたお互いへの深い思いやりと信頼関係があるのかもしれないと感じた。 

 菅野弁護士によると、現在は公判を始める前の段階で、4月頃から裁判員裁判のための公判前整理手続が始まる予定。そこで、秋以降に予想される裁判の開始に向けて、裁判官の前で検察官と弁護人がお互いの主張(言い分)やその根拠となる証拠の提出を行い、双方が提出された主張や証拠に対し、手続の中で反論・検討することとなる。検察側は、死体遺棄、強姦致死、殺人という3重の罪状で死刑の求刑も予想されるとのこと。一方、市橋君が弁護士に話した当時の状況では傷害致死罪が相当で、検察側の主張とは異なるようだが、実際に何が起こったかはいずれ裁判で明らかになるのだろう。 

 今回のような重大事件で被疑者・被告人に経済的能力がない場合は、国が弁護費用(最大3人分まで)を払う国選弁護の対象になる筈だ。しかし、菅野弁護士を代表とする現在の弁護団との間に培われてきた信頼関係に今後を委ねたいという市橋君の強い要望で、私選弁護を続けることになったとのこと。そうなると、元々市橋君の弁護活動はボランティアで始めたので弁護費用が皆無なのは覚悟の上でも、裁判費用(例えば、検察側の持っている膨大な証拠資料の複写費や、市橋君の郷里の岐阜県に行って彼の人間性に関する証言や資料を集めて来る旅費など)が全くないというのは、弁護団が活動をする上で大変苦しい状況のようだ。このままでは、適正な裁判を期待できないということになりかねない。 

 いろいろな要素が重なって、メディアの異常な注目を集めた事件だけに、市橋君にとっては厳しい裁判が予想される。犯した罪に相当する償いをしなければならないのは当然だが、元教師としては、元学生の市橋君に適正な裁判を受けさせたい。そのために、弁護団が十分な裁判活動ができるように、「市橋達也君の適正な裁判を支援する会」(規約(添付ファイル))を立ち上げ、最低100万円くらいの目標で募金活動をして、裁判費用の支援をすることにした。趣旨にご賛同の方は、いくらでも可能な額で結構なので、以下の口座に支援金を送金していただければありがたい。 


郵便振替口座名:市橋達也君の適正な裁判を支援する会 

口座番号:00140-9-773866 

代表:本山直樹(東京農業大学客員教授/千葉大学大学院名誉教授)



 なお、支援金を送金してくださった方々には、私から個々にお礼と支援金受取りの報告をさせていただくので、それによって間違いがないことを確認していただきたい。また、支援金は私の責任において全額を菅野弁護士にお渡しし、収支決算や使途などは、厳密に会計監査を行った上で公表するのはもちろんである。 

 人は誰でも、生きている間に大なり小なりの間違いや失敗を経験する。そういう間違いや失敗を教訓として、成長していくのだろう。市橋達也という青年は千葉大学を卒業し、これまで育ててくれた両親の大きな期待を背に、本来は将来に向かって大きな夢を抱いた前途洋々の青年だった筈だ。それが、当時どういう心理状態だったのかは不明だが、一時的に心身喪失としか言いようのない状態に陥って道を踏み外し、取り返しのつかない大きな間違いを犯した。その結果、やはり将来に大きな夢を抱いていた筈の一人の若い女性の命が無残にも亡くなったのだから、市橋君はこれから一生をかけてその償いをしなければならない。それでも元教師としては、道を踏み外した元学生に救いの手を差し伸べてやりたい。この青年が、自分の犯した間違いを反省し、亡くなったリンゼイさんとそのご家族に心から謝罪し、何年かかるかはわからないが、罪を償った上で残りの人生をやり直す機会を与えてやりたい。私の知っている市橋君は、それにしっかり応えてくれる筈である。


追記(2010年2月25日):

 早速3名の方から支援金振り込みをいただきました。2名の方からはメールでご連絡をいただいたが、23 日に最初に振り込んで下さった方は、ゆうちょ銀行から私に届いた振替受入明細書には片仮名のお名前と金額しか記載されていないので、上記の支援要請文で約束したお礼と支援金受取の報告ができません。
 匿名希望者を除き、送金をされる時にはメールでご連絡いただくか、払込取扱票の依頼人又は通信欄のところにお名前と住所(連絡先)を記入していただけると助かります。記入がない場合は私からの連絡ができませんので、匿名希望と解釈させていただきます。
 なお、菅野弁護士によると、第1回目の3者(裁判官、検察官、弁護士)顔合わせが3月19日に決定したとのことですので、いよいよ公判前整理手続に入るようです。


追記(2010年2月28日):

 支援をしたいが、いろいろな事情で周囲に知られたくない方もいらっしゃるというご指摘をいただきました。支援をしていただいた方のお名前は個人情報ですので、公表することは絶対にありません。振り込みをして下さった方への私からのお礼と支援金受取の報告は、メール又は封書(メールアドレスが不明の場合)で差し上げますが、封書の差出人は私の個人名にして、「市橋達也君の適正な裁判を支援する会」の名称は使いません。それも受け取りたくない方は、払込取扱票の通信欄にその旨お書きいただければ、報告を差し上げません。
 ゆうちょ銀行からは今日までに2月25日までの振替受入明細書が届きましたが、すでに9名の方から合計148,000円のご支援をいただきました。他人の痛みを感じてご支援下さった皆さまの優しいお心遣いに深く感謝申し上げます。


追記(2010年3月1日):

 2月27日までの振替受入明細書によりますと、これまでに13名の方から、合計202,000円の支援金が届きました。ありがとうございました。菅野弁護士に今日早速この様子をメールでお伝えし、支援者の祈りがこもった貴重なお金を少しでも早く裁判活動に活用していただきたいので、集まった分だけでもお届けしたい旨の申し入れをしました。2月20日に支援要請の記事をアップロードして、僅か1週間でこれだけのご支援をいただけたのは、私の予想した以上でした。その後も、「振り込んだ」「今から振り込む」というメールでのご連絡が毎日届いていますので、いずれ募金目標の1,000,000円を達成できるのではと思っています。支援金を菅野弁護士の事務所に届けに行く時は、お金だけでなく、皆さまからいただいたメッセージもお伝えし、市橋君を励ましてもらえるようにお願いもしてくるつもりです。


追記(2010年3月3日):

 今日届いた振替受払通知票によりますと、3月1日までに25名の方から合計363,000円の支援金が届きました。ありがとうございました。この勢いが持続することを祈っています。支援金は1,000円から50,000円までありますが、皆さまの生活費の中から各々工面して振り込んで下さっている筈ですので、いずれの支援金も大変ありがたく受け取らせていただきました。
 支援者のお一人から、殺人事件などの刑事事件の弁護費用は通常1千万円くらいかかることも珍しくないとのご指摘をいただきましたので、友人の弁護士(私の高校時代の同級生で、東大法学部を卒業後裁判官を長年務めた後、現在は弁護士として埼玉県庁の前で法律事務所を開いている)に確かめてみましたら、その通りとのことでした。複数の弁護士が数ケ月から場合によっては結審するまで数年にわたって弁護活動に従事し、例えばリンゼイさんの検死・解剖所見から推定した死亡推定時間にしても、市橋君の証言と一致しない場合に他の法医学講座の教授に再鑑定を依頼するには大変な経費がかかるということのようです。私は当初、募金目標を最低100万円くらいと安易に考えましたが、それは本当に最低ラインで、市橋君の弁護団が活動をするのに決して十分な額ではないということに気づかされました。そうは言ってもお一人お一人の支援には限度がありますので、なるべく幅広く多くの方々のご支援をお願いするしかないと思っています。この事情をなるべく多くの人に知らせていただければ助かります。
 振込み後、3月1日に携帯メールでお知らせいただいた方に折り返しお礼の返信を差し上げましたが、届かなくて返送されてきました。私からはこれ以外の連絡方法はありませんので、ご了承下さい。携帯からメールを送って下さる方は、設定によっては私からの返信を受け取れない場合があるようです。また、振込み後3月2日にメールで報告不要とお知らせいただいた方には、返信を致しませんでしたのでご了承下さい。
菅野弁護士から今日連絡があり、第1回目の3者顔合わせ(裁判官、検察官、弁護士)が3月19日の午前にありますので、午後に私が法律事務所を訪問して今までに集まっている支援金をお届けし、市橋君の最近の様子も伺ってくることになりました。


追記(2010年3月4日)

 京都の「みやこめっせ」(京都市勧業館)で今日開催された一般消費者対象の農薬ゼミに出演するために昨日の午後から京都に出かけていました。現地はあいにく小雨でしたが150名近くの方が参加され、熱心に私たちの話を聴いてくれました。
 今夕新幹線で帰宅してみたら驚きました。ゆうちょ銀行から3月2日分の振替受入明細書が届いていましたが、これまでに33名の方から合計558,888円の支援金が振り込まれていました。こんな風に支援金が予想以上に毎日増えていくのは嬉しい限りです。お一人の方は何と10万円も振り込まれ、「誰にも認められている筈の公正な裁判を受ける権利と、その弁護が充分に行われるよう、どうかお役立ててください」というメッセージが記されていました。ありがとうございました。
 その他にもたくさん送られてくるメッセージを一つ一つ紹介できませんが、ご夫婦で相談して支援して下さった方や、市橋君と同い年の弟さんのことを考えて支援して下さった方もおられます。
 3月19日午後にそれまでに集まった支援金を菅野弁護士に届けに行く時は、今まで皆さまからいただいたメッセージを匿名にして一覧表にして持参し、弁護士が市橋君に接見する時に見せてもらえるかどうか相談してみようと考えています。


追記(2010年3月6日):

  振替受払通知票は支援金が振り込まれてから2日遅れで私のところに届くようです。今日までに3月3日と3月4日に振り込まれた分までが届いていますが、42名の方からの合計は765,688円になりました。ありがとうございました。支援金が急に伸びたのは、今回も100,000円という大金を振り込んで下さった支援者がおられたからです。まだ私のところには、「これから振り込む」「後日再度振り込む」というメールが届いていますので、3月19日午後に菅野弁護士に届けに行く時までには、もしかしたら当初目標とした100万円を達成できるかもしれません。
  匿名希望と指示されたり連絡先不記載の方を除いて、大切なお金を振り込んで下さった方には、私からメールか封書でお礼と支援金受取の報告を差し上げていますが、不手際で、メールと封書を二重に送ったり、報告が数日遅れたりする場合があるかもしれません。不手際についてはお許し下さい。ご不審の場合は、いつでもご連絡下さい。
 市橋君のご両親が本サイトをご覧になっているかどうかはわかりませんが、こんなに多くの市橋君とは何の関係もない方々が息子の更生を願って支援を寄せてくれているということをお知りになった時は、きっと救われる思いをされるのではないでしょうか。私自身も、他人の痛みを感じて元学生の支援をして下さる方々がこんなに大勢いらっしゃることに、人の心の温かさを感じてホッとしています。


追記(2010年3月10日)

 今日は午前中埼玉市(旧浦和市)のさいたま共済会館で開催された埼玉県の「農産物安全技術専門委員会」に委員の一人として出席しました。10年くらい前にテレビで報道されて大騒ぎになったホウレンソウのダイオキシン汚染問題の検討委員会(私も委員として参加した)の後にできた委員会で、埼玉県産農産物の安全対策・農業技術開発などについて評価・助言を行う目的で、山本 出委員長(東京農業大学名誉教授)を含めて各専門分野の学識経験者や消費者代表など10名の委員で構成されています。今日は、埼玉県農林総合研究センターが取り組んでいる4つの試験研究課題(1.農薬のドリフト低減技術の確立 2.農薬の後作物への影響回避技術の確立 3.農薬混用による作物残留への影響解明 4.県産主要野菜ネギ・ナスのカドミウム濃度低減技術の確立)について討議しました。県は、安全な農産物を生産できる農業技術を生産農家に提供するために、いろいろな試験研究をしています。それを、我田引水にならないように、外部の専門家から成る委員会で客観的に評価してもらうという仕組みです。
 自宅のある松戸に帰ってきて、夕方いつものように江戸川の堤防をジョギングしていたら携帯が鳴って、東京スポーツ新聞から本Webサイトの記事を見たということで市橋君の件について長時間(30分くらい)の取材がありました。私が言いたかったことをどこまで正確に伝えてくれるかは、記事になってみないとわかりませんが・・。
 3月6日と3月8日までに、48名の方から届いた支援金は合計849,688円になりました。支援者の中には2回目の振り込みをして下さった方が二人おられますし、しかもその中のお一人はシングルマザーとのことです。現在失業中という方もおられ、亡くなったリンゼイさんが生きていたら同じ年令というイギリス人女性もおられます。皆さまがご自分の生活がある中でこのようなご支援をして下さり、本当にありがたいことです。ある農薬関係の研究機関の理事も、千葉大学走友会(教職員のクラブで、走ることが好きな私は10年間会長をして、フルマラソンや駅伝大会で走っていました)の元会員も送金して下さったということは、市橋君に適正な裁判を受けさせたいという私たちの思いに共鳴する方々が広がりつつあるのかもしれません。


追記(2010年3月12日): 

 3月10日までに、53名の方から合計974,688 円の支援金が振り込まれました。今回もお一人は2回目でした。振り込んで下さった皆さま、ありがとうございました。もう少しで最初に目標とした1,000,000円に達しそうです。私のWebサイトを共同管理してくれている元学生(千葉大学時代の研究室の専攻生)によると、最近は1日に400件くらいのアクセスがあるとのことですので、支援者の皆さまがいろいろなところで輪を広げて下さっているのかなと想像しています。

 昨日、駅まで東京スポーツ新聞(3月12日付け)を1部買いに行って先ず驚いたのは、この新聞は第1面が人前で広げるのが恥ずかしいような女優の大きなヌード写真で飾られていたことです。家に帰って新聞を広げて次に驚いたのは、当該記事の見出しの「市橋募金に“ガールズ„が殺到」という表現でした。記事に目を通してもう一度驚いたのは、支援者を「市橋ファン」、「市橋ガールズ」、「市橋信者」と表現していたことです。早速支援者のお一人から、書き方に悪意を感じる、悲しみと怒りがわいてきた、支援活動を貶めるだけでなく、支援者に対する侮辱でもある、というお便りをいただきました。その後、別の複数の支援者からも同様のご指摘をいただきました。全くその通りです。これではまるで支援者を、人気歌手に付きまとう追っかけや、毒ガスを発生させて多くの人を殺した宗教団体のリーダーを妄信して従う信者や、選挙で当選させてもらった○○チルドレン/○○ガールズ、と同じような印象を与えます。この記者は、恐らく私への電話取材を録音し、記事の正確さを期した筈ですので、記事の大部分は取材内容を反映していました。しかし、肝心の支援活動の解釈と支援者の位置づけについては、全く事実を理解しない間違った記事を書かれてしまいました。これが記者個人の誤解や思い込みによるのか、新聞を売らんがために意図的にしたのかはわかりませんが、多分後者でしょう。

 テレビの取材でも、インタビューの間カメラが 30分~1時間回っても実際に放映されるのはその中の30秒くらいという経験をよくします。たいていあらかじめ番組ディレクターが企画したストーリーが決まっていて、録画した映像の中からそれに合う発言部分を切り出して使うようです。場合によっては、私がストーリーに合う発言をしない場合は、何回でも質問の仕方を変えて都合のいい発言が出るまで質問し続けることもあります。私たちは普段新聞でもテレビでも、メディアは事実だけを客観的に報道するものと思いがちですが、販売部数や視聴率をかせぐためには必ずしもそうではない場合があるということです。

 支援者の皆さまからいただいたメッセージによって、支援の動機にもいろいろあることがわかります。昨年の11月に市橋君の身柄が確保されて移送された時に、手錠をかけられて頭からスッポリ上着を被せられ、取材陣に取り囲まれてもみくちゃにされている映像を見て、西部劇で捕まった犯人が大勢にリンチ(私刑)にかけられるのを黙って見ていられない気がして、何とかしてあげたいという気持ちになった方もおられるのでしょう。もみくちゃにされても凛とした姿勢を保っていた市橋君に、報道されていたほど凶悪犯人ではないのではと直感的に感じた方もおられるのでしょう。逃亡中、親に貰った顔を整形してまで生き延びようとして必死に働いていた姿に同情した方もおられるのでしょう。自分の子供や弟がちょっと間違えれば市橋君の立場だったらと想像して、少しでも力になってあげたいと思われた方もおられるのでしょう。中には、自分の娘や関係者がリンゼイさんの立場だったらと想像して激しい憎悪を感じながら、迷いながらも、市橋君が適正な裁判が受けられるようにと支援を決意した方もおられます。私のように、道を踏み外して地獄の底に転落した元学生になんとか救いの手を差し伸べてやりたいと思う者もいるのでしょう。これらの人々が、自分の思いをどう実現したらよいのかわからなかった時に、私が立ち上げた「市橋達也君の適正な裁判を支援する会」の存在を知って、支援を寄せて下さったのだと思います。決して、東京スポーツ新聞が描いたような、女性のミーハー的関心とか母性本能をくすぐられてというような皮相的な動機で支援活動をしているのではない筈です。

 私が東京スポーツ新聞の取材を受けたことによって、書かれた記事で不愉快な思いをされた支援者の皆さまにお詫び致します。と同時に、メディアの方々には、メディアの本来の使命をもう一度認識して、販売部数や視聴率のためとはいえ、平気で人を傷つけるような報道をしないでいただきたい。


追記(2010313日):


 今日は、千葉県長生郡白子町中里海岸で行われた「九十九里海岸の松林を守る会」(代表は元千葉県森林研究センターの石谷栄次氏)のクロマツ大苗の植栽に参加してきました。50年くらい前に地域住民の協力で九十九里海岸に植えた松は2千ヘクタールにも及ぶそうですが、りっぱな砂防林として地元の住民の生活を守ってきました。それが、マツノマダラカミキリ(いわゆる松くい虫)と呼ばれる害虫が媒介するマツノザイセンチュウという侵入病害によってどんどん枯れ始め、今では歯抜け状態のように松林の中にあちこち空地ができて、このままで は防風林としての機能を果たさなくなることが懸念されるようになりました。松枯れを防ぐためには、農薬散布で松くい虫を防除したり、殺線虫剤を樹幹に注入したり、被害木(次世代の発生源になるので)を撤去する伐倒駆除などが行われています。それに加えて、「九十九里海岸の松林を守る会」ではボランティアを募って、千葉県環境財団の助成金で調達した松の苗木200本を植える作業をしました。約20人で、強風で舞う飛砂が顔に当たって痛いくらいの中での作業でしたが、今日植えた松が50年後には大きく育って、その時にここに住んでいる人々の生活環境を飛砂被害から守ってくれることを想像し、満足感を味わわせてもらいました。

 3月11日までに振り込まれた54人からの支援金の合計は、994,688円になりました。ありがとうございました。東京スポーツ新聞に書かれた記事については、何人かの支援者から、昨日私が書いた追記で、同じように感じた人が他にもいることがわ かったというお便りをいただきました。

追記(2010315日):

今日までに届いた312日と313日の振替受払通知票によると、58名の方々からの支援金総額は1,020,688円になりました。今回も2回目の振り込みをして下さった支援者が2名おられました。当初の募金目標だった最低100万円はとりあえず達成できました。ありがとうございました。まだ、「振り込んだ」というメールが届いていますので、19日に菅野弁護士にお渡しするまでにはもう少し増える筈です。

支援者のお一人から、私がこのように誰でもが見られるWebサイトに集まった金額などを公表しているので、弁護士に届けに行く時は注意をするようにとの忠告をいただきました。皆さまの善意が込められた貴重なお金に万が一の事故があってはいけませんので、現金を持参せずに、菅野弁護士の指定の口座に振り込むなど慎重に対応するつもりです。

支援者の数が多くなってきましたので、いただいたメッセージに対する私の返信が追い付かない場合がでてきています。どうか失礼の段はお許し下さい。また、追記は私から支援者へのメッセージですから、非支援者から募金活動や支援活動に対する批判的ご意見や質問をいただいても、私の時間的制限から一々の対応はできない場合がありますので、ご了承下さい。


添付ファイル (1)

  • 市橋達也君の適正な裁判を支援する会規約.pdf - 2010/02/20 5:05、Naoki Motoyama2 (バージョン 1)
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