大阪市営地下鉄の長堀鶴見緑地線・鶴見緑地駅(同市鶴見区)で15日朝に起きたポイント故障で、市は同日夜に記者会見し、同線運転指令所の指令員3人が必要な指示を出さなかったため、ATC(自動列車制御装置)が壊れた状態で始発電車が約6キロ走行し、停車中の電車の約70メートル手前で急停止したと発表した。
市交通局の松尾義春・鉄道事業本部長は記者会見で「衝突や脱線につながりかねない重大な事態で、誠に申し訳ない」と謝罪した。近畿運輸局は市に原因究明と再発防止を指示した。始発電車には約20人が乗っていた。
市によると、始発電車(4両編成)は15日午前5時9分に大正駅を出発。同27分、前の列車に近づくと自動的に速度を下げる車内取り付けのATCが故障し、指令所からの指示でATCを解除し、時速20〜40キロ程度の低速で運転を続けた。
ATCが解除されたため、始発電車は、次の鶴見緑地駅の約50メートル手前のポイント付近でいったん停止し、指令員が手動でポイントを切り替えなければならなかった。ところが、指令員3人全員が停止指示を出すのを忘れ、始発電車は、同電車側とつながっていないポイントをそのまま踏み越えて通過した。この際にポイントが故障した。
始発電車は、終点の門真南駅(大阪府門真市)の手前約180メートルのポイントでもいったん停止し、指令員は、始発電車と交代する臨時の折り返し電車のいない同駅の別のホームに入るよう、手動でポイントを切り替える必要があった。しかし、この停止指示も出ず、切り替えもなかった。
そのため始発電車は、代替電車がとまっている同じホームにそのまま進入。そこで初めて指令員の1人が異変に気づき、始発電車に急停止の指示を出し、始発電車が急ブレーキで停止したという。指令員3人は「手動で切り替えないといけないことを忘れていた」と話しているという。