前相撲に出場した達=大阪府立体育会館
「大相撲春場所2日目」(15日、大阪府立体育会館)
新弟子による前相撲が始まり、中学横綱の実績を持ち、中卒で角界入りした達綾哉(15)=たつりょうや、高田川=が、原(鳴戸)をつっぱり4発で土俵外に突き出し、わずか“2秒”で白星デビューを果たした。朝青龍が引退し新しいスターが待ち望まれる中、和製ホープがプロとしての第一歩を踏み出した。幕内では一人横綱の白鵬、大関とりの把瑠都がともに連勝。大関陣では琴欧洲と、かど番の琴光喜が黒星を喫した。
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将来を期待せずにはいられない、圧巻の内容だった。身長193センチで白鵬とほぼ同じ体格を生かし、リーチの長い突きを原に繰り出していく。1発、2発、3発…。見る見る相手は後ろに下がり、4発目が当たったころには、完全に土俵を割ってしまっていた。取組時間は約2秒。あっという間に達がプロ初白星をもぎ取った。
相撲では怪物ぶりを発揮した15歳だが、支度部屋では少年の顔をみせた。デビュー戦の感想を問われ「一番初めの試合なので、いい相撲を取れてよかったです」とはにかんだ。取組をアマチュア用語の「試合」と言ってしまうのは、初々しさの表れだ。
6日に行われた新弟子検査に合格して、部屋での呼ばれ方もお客さんとしての「達くん」から「達」に変わった。番付に名前が載る前から、序二段上位から三段目の兄弟子に胸を借り、汗を流している。プロ生活の厳しさで、検査の時から2キロ減の143キロまで体重は落ちた。
達は「目標は横綱になること。それは変わりません」と公言してはばからない。引退した朝青龍については「残念です。問題を起こしたから仕方がないけど…。僕も横綱ぐらい活躍する力士になりたい」と誓いを立てた。将来の国産横綱の姿を想像するのは、気が早過ぎるだろうか。
(2010年3月16日)