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【大相撲】白鵬が白星発進2010年3月15日 紙面から
◇春場所 初日(14日・大阪府立体育会館) 2場所ぶり13度目の優勝を狙う横綱白鵬(25)=宮城野部屋=は小結安美錦を危なげなく送り出し、白星スタート。初の大関とりに挑む関脇把瑠都(25)=尾上部屋=も阿覧を寄り切って好発進した。出場した横綱、大関が初日にそろって白星スタートを切るのは、2007年夏場所以来。 初日恒例の協会あいさつでは、武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)が元横綱朝青龍関(29)に関する一連の問題に触れ「多大なご心配とご迷惑をおかけしたことを、心よりおわび申し上げます」などと謝罪した。 押し寄せる「一人横綱」のプレッシャーをものともしなかった。白鵬はくせ者の安美錦を、冷静に料理して白星発進。「技能のある力士なので、よく見ていこうと思った。それが良かったね」と振り返った。 「深くは考えず、いつも通りに臨みたい」と迎えた初日。だが朝青龍の引退をファンにわびる武蔵川理事長のあいさつで始まり、角界の看板として一身に視線を集める土俵は「雰囲気が全然違う」と感じた。「4大関がすべて勝って結びだった。そういう意味でプレッシャーがあった」と言う。 しかし場所前にけいこを積んできた自分を信じて「立ち合いしっかり当たる」ことだけ考えた。得意の右は差せなかったが、冷静に突き放すとタイミングよくいなして送り出した。「場所前のけいこが生きたということ。(突きが)流れの中で自然と出た」と笑った。 体調の良さも重圧に立ち向かう白鵬を後押しする。白鵬の体を診る執行稔トレーナーは「万全な状態。ケアするところはありません」と、取組後恒例のマッサージも施さず。突きを繰り出せるようになったのも、痛めていた左ひじが気にならなくなった証拠だ。 「うまく相手を突き放していた。横綱の責任を果たそうと思ったんだろう」と、大相撲の失地回復のためには、白鵬に期待するしかない武蔵川理事長からも、お褒めの言葉が出た。 名実ともに一人横綱に座ったのは過去8人。そのうち優勝したのは北の富士と朝青龍だけ。初日をクリアしても、以後に崩れた横綱も多い。だが白鵬は「一つ一つ(の白星)が薬になる。優勝は神様しか分からない。なるようにしかならない」。人事を尽くして切り抜けてみせるつもりだ。 (田中一正)
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