記者会見で、条例改正案への反対を表明する漫画家の(右から)里中満智子さん、ちばてつやさん、永井豪さん、竹宮恵子さん=15日午後、東京都新宿区の都庁、池田敦彦撮影
東京都がアニメなどに登場する18歳未満と判断される架空の人物の性描写を規制対象にする、青少年健全育成条例の改正案を都議会に提出している。都は「対象は著しく社会規範に反する表現に限る」としているが、指定の基準にはあいまいな部分があり、出版界などは「表現の自由が侵される」と批判。15日は漫画家らが記者会見して規制への反対を表明した。
条例の改正案では、アニメのほか漫画やゲームなどで18歳未満の実在しない人物が登場し、強姦(ごうかん)など著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写した作品について、第三者でつくる都の審議会が「不健全図書」に指定。18歳未満には売らないことを販売者に義務づけることなどを定めている。最終的に従わなかった場合は、罰金(30万円以下)が科される。可決されれば10月から施行される。
刑法(わいせつ物頒布罪)の対象は実写に近い精密な性描写に限られ、児童買春・児童ポルノ禁止法は実在の子どもを扱った作品を対象としており、漫画のキャラクターなどを規制対象に明記した法律や条例は初めてだという。
これに対し、記者会見した漫画家の里中満智子さんは「ある作品への感想は個々人で異なる。一つの見方だけで規制をかけるのは危険だ」と批判。日本出版労働組合連合会も「創作活動の場で過剰な自粛が行われ、表現活動が萎縮(いしゅく)する」などとして、改正案に反対するよう求める要請文を都議会各会派に提出した。
一方、都小学校PTA協議会は「目をふさぎたくなるような漫画などが書店に置かれている」として改正案成立を各会派に要望した。