点差以上の完敗劇

2010 J2リーグ　第2節
ザスパ草津 0-1 愛媛FC
24分 福田(愛媛)

2010シーズン、待望のホーム開幕戦だったのですが、正直、絶望してしまうような試合を目にしてしまい、かなりショックな状態です…

徳島での開幕戦は雨でピッチ状態も悪く、次のホームゲームではいい試合を見せてくれるだろうと信じていた。しかし、この日の副島ザスパが繰り広げた試合は、あの「2005年のJ1年目」と匹敵するぐらい、何をしたいのか、何をやりたいのかわからない試合を展開してしまった。

昨年同様、「対草津用戦術」をきっちりと仕掛けてくる愛媛。素早くブロックを構成し、プレスも絶え間なくかけることで草津の持ち味を殺していく。出しどころを無くした草津攻撃陣は不用意なミスパスを連発し、中盤がまったく機能しなくなってしまう。こうなると、次に出るのは意図が感じられない単純な縦ポンサッカーである。そしてこの悪循環により、2トップになかなかボールが入らず、ヤス、涼はゲームから次第に消えていってしまう。

これをなんとか打開しようと松下がボールをキープして仕掛けると、愛媛は狙い澄ましたように、中盤と最終ラインの間めがけて攻撃を仕掛けてくる。さらに愛媛には、今日から出場可能となった、経験豊富な「さすらいのストライカー」福田健二が前線で待ちかまえている。

決して、愛媛のやっているサッカーが魅力的だとは思わない。しかし、プランニングした戦術をしっかりと遂行し、福田というキーマンがしっかり前線でポイントとなることで、攻撃に幅を持たせている。前半5分の段階で、その「差」をしっかりと見せつけられてしまった…

そして23分、柴田がペナルティ内で愛媛の松下を倒してしまい、PKを献上。これを福田が落ち着いて決め、愛媛が先制する。またも先取点を奪われてしまった草津だが、攻撃のエンジンがいつまで経っても本調子にならない。

昨年までは、絶妙のパスでも、無謀と思われる縦ポンでも、絶対エースの都倉がなんとかキープし、数少ないチャンスを豪快に決めてくれていた。しかし、そのエースは今はチームにいないのだ。23得点を挙げた大砲のいない今、その穴を埋めるのはフィールドプレーヤーの10人全員なのである。だが、新しい選手との呼吸、新戦術へのとまどいが見える草津は、どんどん自滅のような形でチャンスをつぶしてしまう。

さて、前半は0-1のまま折り返し、勝負は後半戦に突入するが、副島監督は「ゴールへ向かってプレーを増やしたい」という意図から、後半はじめからラフィーニャと山田を投入。前半は松下ぐらいしか「仕掛ける」選手はいなかったが、ラフィーニャが前線を活性化させ、山田がサイドで鋭いアタックを仕掛け、攻撃に光明を見いだしてくる。

だが、愛媛はディフェンスはあわてることはなかった。バルバリッチ監督は、攻撃よりも守備を重視した交代を選択し、草津の攻撃をシャットアウトすることに成功する。対する副島監督も、最後の交代枠に菊池大介を起用し、なんとか局面を打開しようとするが、時すでに遅し。この日も0-1で終了し、屈辱の開幕2連敗スタートとなってしまった。

さて、今の草津だが、昨年のメンバーと変わっていない中盤なのだが、まったくと言っていいほど、持ち味が出せなくなってしまっている。また、都倉という大黒柱を失ったことで、なかなかFWにボールを預けて展開という形も作れてはいない。

ボールが回らない→苦し紛れに縦ポン→カットorクリアされる→この時点で相手のプレスがすでに来ている→バックパス→また縦ポン→（ここでラインが随分下げられてしまう）→またカットされて、このボールをシンプルに繋げられてしまう→相手がワイドに展開→草津ピンチ！

この形が永久ループのように繰り返された試合だった…
（後半はまあ、それなりの形もありましたが）

また、もう一つ目についたことだが、やっぱり戸田はボランチで使ってあげたほうが断然いいと感じられた。ファイタータイプの松下と戸田が中盤の底に入ることで、相手攻撃陣のキーマンに対して前からプレッシャーをかけられることとなる。さらに、ゲームを組み立てることを考えても、戸田をもう1列前に出した方が、チームのメリットは高いのではないだろうか？

まあ、まだ2試合を終わったばかりなので、いきなりの変更はないだろうが、まずは「今季初ゴール」をいち早く挙げたいところ。都倉がいなくても点が取れることを証明できなければ、草津の「この先」は暗いとしか言いようがない。

とりあえず、ここ2試合、途中交代で入って光る活躍を見せたラフィーニャ、山田に期待したいところである。