【うるま】11日午前0時34分ごろ、うるま市宮里の県立中部病院の救急搬送路に、米軍車両の大型けん引車と小型四輪駆動車の計2台が無断で侵入し、正面玄関前のロータリーを1周して県道に戻って行ったのを同院の警備員らが確認した。その後、敷地内のガードレールや縁石などの破損も確認された。県警や沖縄防衛局は米軍側に車両の特定などを要請。県や市は情報収集を進めている。識者からは「民間施設への侵入は地位協定違反」との指摘もある。
当時、救急車両などの通行はなかった。
同病院の入り口などに設置された2カ所の監視カメラの映像には、大型けん引車に続いて四輪駆動車が侵入し、警備員が慌てて駆け寄る姿や外来患者と思われる人物などが映っていた。車両のナンバープレートなどは確認できなかった。
関係者によると、大型けん引車の助手席から軍服姿の兵士1人が降り、英語でロータリー内を誘導するのを警備員が目撃している。大型車両の積み荷は不明。
同病院では、1日平均100人の急患を受け入れており、そのほとんどが午後6時~午前0時の間に集中しているという。
日米地位協定に詳しい法政大学の本間浩名誉教授は「公務中であっても民間施設への侵入は明らかな地位協定違反で、施設所有者に同意を得ずに勝手に入ることは許されない」と指摘し、「どういった理由で侵入したか、米軍側に説明を求めるべきだ。仮に緊急避難的なものであっても、どのような状況だったか検証していく必要がある」と述べた。
琉球新報の取材に米海軍は「当該車両は海軍にはない」と答えた。(琉球新報)
2010年3月12日