連載 - ライター・編集部員による定期連載 -

2009年11月5日掲載

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【連載】 ウワサのクチコミを徹底検証! 第1回 

富士フイルム「FinePix F200EXR」はホントに高感度に強いのか?

すぐれた評価は得ているものの最高レベルの評価はそれほど多くない

FinePix F200EXRのクチコミ掲示板では、やはり、スーパーCCDハニカム EXRによって実現した、新しい3種類の撮影モードについての書き込みが多く見受けられる。すべてのモードについて検証を行ないたいところだが、今回の「ウワサのクチコミを徹底検証!」では、「スーパーCCDハニカム EXRによって、富士フイルムお得意のノイズレスな高感度撮影性能がどのくらい進化しているのか?」という点に注目した。特に、従来の「高感度に強い」と評判の富士フイルム製デジカメを所有していて買い替えを検討しているユーザーにとっては、新しいスーパーCCDハニカムの高感度撮影性能のレベルが気になるのではないだろうか。

FinePix F200EXRに寄せられているクチコミ内容をチェックしてみると、「高感度・低ノイズ優先」を中心とした高感度撮影性能に関しては、「期待以上ではない」というやや否定的なクチコミがわずかにある程度で、多くはFinePix F200EXRの画質に満足しているという内容の書き込みとなっている。従来モデルと比べても「FinePix F200EXのほうが高感度画質は上」という書き込みもあり、それらの意見をまとめると、FinePix F200EXRは、富士フイルムの従来モデルと比べても、同等かそれ以上にノイズレスな高感度撮影が可能であることが読み取れる。

ただ、気になるのは、「驚異的」「史上最高」といったような最高レベルの評価はそれほど多くないということ。従来モデルと比較して、「ほぼ同等レベル」「進化は感じるが、頭打ち感がある」といった意見もある。大きく意見が分かれるところまでは行っていないが、FinePix F200EXRの高感度撮影性能については、「おおむね満足」という評価におさまっている印象が強い(FinePix F200EXR 搭載の2号機「FinePix F70EXR」でも同様の傾向にある)。

「FinePix F200EXR」のクチコミ掲示板から抜粋したクチコミ

 ◎ このカメラのEXR高感度モードはコンデジ最高クラスだと思います
 ○ コンデジなのにISO800が常用できそうです
 ○ 高感度・低ノイズ優先モードを利用するとかなりノイズを抑えてくれます
 △ 進化してるのは確かなんですが、ここらが限界なんですかね。びっくりするほどの差はないんですよね
 × このカメラの「売り」のEXRモード、高感度低ノイズにはがっかりです

 

「FinePix F200EXR」で撮影した感度別サンプル

では、FinePix F200EXRの高感度撮影性能についてくわしくレポートしていこう。FinePix F200EXRの「高感度・低ノイズ優先」モードを使用し、ISO400、ISO800、ISO1600の感度別に撮影した写真サンプルを見ながら、画質をチェックしてみたい。

■FinePix F200EXRの「高感度・低ノイズ優先」モードで撮影した写真のサムネイル画像
 
(左)蛍光灯下の室内で撮影、オートホワイトバランス、露出補正+0.3、焦点距離14mm(35mm判で約61mm相当)
(右)自然光が窓から差し込む室内で撮影、オートホワイトバランス、焦点距離6.4mm(35mm判で28mm相当)

※以下の感度別の画像は、撮影写真から300×225ドットをピクセル等倍で切り抜いた画像です。左右の画像とも、クリックするとリサイズ・補正を行なっていない撮影写真(2816×2112ドット)が別ウィンドウで開きます

■ISO400
 

1/85秒、F4.1

1/14秒、F3.3

■ISO800
 

1/170秒、F4.1

1/26秒、F3.3

■ISO1600
 

1/350秒、F4.1

1/52秒、F3.3

コンパクトデジカメでありがちなのが、ソフトウェア処理によるノイズリダクションを強く働かせることで、とにかく高感度撮影時のノイズを低減するというアプローチ。この場合、ノイズが減る代わりに解像感がなくなってしまい、塗り絵のような平面的な写真に仕上がってしまうことが多い。ソフトウェア処理のレベルが向上してきてはいるものの、こういったソフトウェア処理でノイズ低減を図っているコンデジは、最新モデルでもいくつか見受けられる。解像感の面で、やや不満を感じるモデルがあるのも事実だ。

しかし、FinePix F200EXRの「高感度・低ノイズ優先」で撮影した高感度写真を見ると、そういったソフトウェア処理に頼っていないのがよくわかる。パッと見た感じでは、富士フイルムの過去の名機(630万画素の「FinePix F31」など)のほうがノイズが少ないように感じるが、じっくりとチェックしてみると、FinePix F200EXRはカラーノイズが少なく解像感がしっかりと残っているのがわかる。これが従来モデルと大きく異なるところだ。FinePix F200EXRでは、写真としての立体感や、プリントした際の解像感を意識してチューニングされているのではないだろうか。「デジタル一眼カメラに匹敵する」といったような驚異的な画質ではないものの、コンパクトデジカメとしては、FinePix F200EXRは、最高レベルの高感度撮影性能を備えていると評価していいだろう。

クチコミ掲示板では「ISO800が常用できる」という書き込みが見られるが、確かに、ISO800も十分に使用できるレベルだ。最高感度のISO1600だとややノイズが目立ってくるが、逆に解像感については納得できる。好みにもよるだろうが、ISO1600まで許容できるという方も少なくはないだろう。

ただ、「やっぱりノイズが気になる」というユーザーの声もよくわかる。クチコミ掲示板での評価のトーンがやや低いのは、高感度撮影時のノイズ低減力が期待していたよりも低かったことが大きな原因ではないだろうか。また、富士フイルムの新しい撮像素子であるため期待値が高すぎたことも大きい。加えて、「高感度・低ノイズ優先」「ダイナミックレンジ優先」「高解像度優先」という3つの撮影モードを自動で判別する「EXRオート」で撮影すると、感度がフルオートで設定されてしまい、暗い撮影シーンだと積極的にISO1600まで感度が上がってしまうことも要因のひとつといえる。クチコミ掲示板では、「EXRオートではなく、高感度・低ノイズ優先モードを選択して感度の上限を設定して撮ったほうがいい」という意見も多い。

FinePix F200EXRは、11月6日現在、2万円を切る価格で購入できる製品だ。価格を考慮するなら、驚異的なコストパフォーマンスを誇る製品といえる。また、FinePix F200EXRを使用してみると、高感度耐性だけでなく、低感度時の解像感やダイナミックレンジなど画質にまつわる部分で、スーパーCCDハニカム EXRという新しい撮像素子のポテンシャルの高さがうかがえる点も報告しておきたい。今度登場するスーパーCCDハニカム EXR搭載デジカメは、研究・開発が進み、さらに画質面がブラッシュアップされていくはずだ。ニューモデルにいっそうの高感度性能の向上を期待したい。




※価格.com最安価格は2009年11月6日現在のものです

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