GDP(国内総生産)は一年間に国内で産み出された付加価値の総額でその国の経済力を示す一つの指標です。GDPを人口で割った数字が「国民一人当たりGDP」でその国の国民一人が生み出す付加価値を表しています。 ここに1996年から2007年までの「日本国民一人当たりGDPの世界順位」の表を掲げます。 年 世界順位 1996 3 1997 4 1998 6 1999 4 2000 3 2001 5 2002 8 2003 9 2004 12 2005 15 2006 18 2007 19 1996年の「日本の一人当たりGDP」は世界第3位でした。 1997年は第4位、1998年には第6位まで下がりましたが1999年第4位、2000年には第3位まで回復しました。これは1999年7月に首相となった小渕政権がそれまでの橋本政権による財政再建のための「緊縮財政」を止めて積極的な財政出動に転換して景気を回復させた結果と思われます。 しかしながら短期政権の森首相の後2001年に首相となった小泉政権の時代は毎年順位を下げ続け2007年には世界第19位と史上最低ランクまで落ちています。 2008年の最新統計は未だ出ていませんが、おそらく世界第20-25位にまで順位を下げ先進国中最貧国の一つになっていると思われます。 日本の国民は小泉政権下の6年間とその後の安倍、福田、麻生と3人の自民党内閣の間に最貧国の国民に成り下がってしまったのです。 なぜ短期間にこのように急速に貧困化したのか、その原因は「小泉・竹中構造改革」の強行なのは明らかです。2001年4月、小泉純一郎氏が内閣総理大臣となり竹中平蔵氏を起用しマスコミを総動員して「小泉・竹中構造改革」を強行した結果が今の惨状を招いたのです。 ▼ 日本の消費が今おかしくなっている 今まで売れていたものが極端に売れなくなっています。ファッションや雑貨や日用品も日本の消費者は不要不急なものは全然買わなくなっています。ファッションで売れているのはUNIQLOやH&Mなどの安くておしゃれなファストファッションです。日曜雑貨や食品や家具なども売れているのはディスカウンターの低価格商品です。 価格競争が一段と激しくなり存亡の危機に立っている百貨店はもとより、スーパーやコンビニも売り上げを大幅に落としています。低価格商品への流れは世界的な傾向ですが日本では極端に出ています。 なぜこのような状況になってしまったのかを考えますと一番大きな原因は、ここ10年で日本人の個人所得が下がり続けて可処分所得が激減したからだと思います。日本国民が急速に貧しくなってしまったのです。 また年金や医療や介護や生活保護や失業対策や労働者保護などの、いわゆる社会の「セーフティーネット」がズタズタに壊されたために、心の余裕がなくなり生活を楽しめる人が極端に減ってしまったことも消費不況の大きな原因だと思います。 ▼ 個人資産はどこに行ったのか 激減した個人資産はどこに行ったかの問題ですが、大手金融機関(ゼロ金利政策)、大手企業経営者(非正規雇用)、自民党政治家(企業献金)、特権官僚(天下り)、大手マスコミと広告代理店、外資系金融機関(円のキャリートレード、金融派生商品)、米国政府(米国債)に合法的に流され配分されたのだと思います。 2001年4月に就任した小泉純一郎首相は竹中平蔵現慶応大学教授を使って「小泉・竹中構造改革」の名のもとに「規制緩和」「官から民へ」「小さな政府」「自己責任」をスローガンにした、いわゆる米国発の「新自由主義経済政策」をマスコミを総動員して強行しました。 当初はマスコミの小泉改革翼賛報道で国民の90%が熱狂的に支持しましたが、8年後の現在支持した国民の多くは悲惨な状況に追い込まれています。 GDPの65%は個人消費がつくりだすと言われていますが、個人消費の主役である個人を貧困化させ不安定化させたのですから消費不況になるのは当たり前だと思います。 大企業や政治家や官僚や米国の利益を最優先にしてきたこれまでの自民党政治に加えて、2001年から始まった「小泉・竹中構造改革」を強行した結果が今の日本の惨状をもたらしたと思います。 ▼ 安心して生活を楽しめる成熟社会を目指せ 幸いにもぎりぎりのところで政権交代が起こり「生活が第一」を掲げる鳩山新内閣が誕生しました。 これからの日本は、大企業や政治家や官僚や大手マスコミや米国政府や外資系企業など一部の特権階層が社会の主役ではなく、一般個人と中小零細企業と地方の人々が主役となり、年2−3%の低経済成長でもイタリアやフランスや北欧諸国のように「安心して生活を楽しめる成熟社会」を目指すべきだと思います。 無駄を徹底的に省き、税金や保険料や給料が強欲な政治家や官僚や経営者や米国政府や外資系金融機関に盗まれることなく、国民生活と経済の活性化と国際平和のためにのみ使われれば、そのような社会はすぐにも実現可能です。 今必要なのは、「第二の敗戦」と呼んでもよいほどに国民生活に深刻な被害を与えた「小泉・竹中構造改革」の実態を徹底的に検証してその責任者を割り出し彼らの責任を明らかにすべきです。 「外国の利益のために国民生活を破壊した罪」を創設して処罰することです。 「小泉・竹中構造改革」を批判的に総括をすることでこのような詐欺的な政治が二度とおこらないようにしなければなりません。 |