きょうのコラム「時鐘」 2010年3月15日

 ことしは日米安保改定から50年、大阪万博から40年になる。1970年3月14日の万博開幕式から40年目の同じ日に、石川県知事選が行われ谷本正憲氏が5選を果たした

二つの感慨を覚える。一つは、混迷の60年安保から繁栄の象徴となる70年万博まで、激流のように流れた10年の歳月の濃密さである。もう一つは、万博から今日までの、長いようで短い40年についてである。時の流れる速さと濃淡の違いを思う

40年前の石川県知事は2期目の中西陽一氏だった。当時大卒3年目の若手官僚、谷本さんはまさかその中西氏の後任となり、今があるとは思いもしなかったろう。有権者は、中西・谷本両氏に戦後石川の半世紀近くを任すことになるのである

万博のテーマは「人類の進歩と調和」だった。この40年間、北陸はどのように進歩し社会は調和してきたか。知事選が、お祭り騒ぎでなく、政党激突の場でもなくなったのは悪いことではない。が、かつてほどの熱気がないのはなぜか。静かな選挙のどこに問題があったのか

4年に1度の知事選が終わった後にも、点検しておくことはいくらもある。