GPSより正確な「VLBI」、2011年導入へ(上)

陸地が1ミリ動いただけでも「毛抜きを使うように」捕捉

世宗市に5月、計測用電波望遠鏡を設置

日本への依存から脱却、緯度・経度の基準点を独自に決定することも可能に

 地震や津波を予測するには、地表を支える地殻やプレートの動きを観察できなければならない。

 1年にわずか数ミリしか動かない地殻の動きを知ることができる技術が、VLBI(Very Long Baseline Interferometry)だ。韓国では「超長基線電波干渉計」といい、この技術を使用すれば、地面の緩やかな動きも知ることができる。

■今ではなくなっているかもしれない星の光で測量

 VLBIは、宇宙の星を利用した測量技術だ。数十億光年(1光年は、光が1年間で到達する距離。約9兆4600億キロ)離れた場所にあるクエーサーと呼ばれる天体から届いた電磁波を活用する。クエーサーの明るさは太陽の数兆倍にもなるが、あまりにも遠く離れているため、地球からは一つの点のように見える。クエーサーは東西南北の空に点在しており、地表面のどこからでも観測できる。

 クエーサーが発する電磁波を活用し、地球表面の位置を定める。地球は球面なので、クエーサーの電磁波が到着する時間は地域によって異なる。運動場の一方の端で声を出したとき、近くにいる人と遠くにいる人では声を聞く時間がわずかに違うのと同じ理由だ。

 クエーサーの電磁波が到着する時間を、水素原子時計で測定する。水素原子時計は、誤差が100万年に1秒という時計だ。これほど正確な時計を用い、VLBIはクエーサーの電波が地表面にどの間隔で到着するのかを測定する。VLBIは、地球表面の位置を1000キロに1ミリというわずかな誤差で把握できる。VLBIは、GPS(衛星利用測位システム)の位置測定が合っているかどうかを確認する基準になると同時に、地表の緯度・経度の座標を割り出す役割も果たしている。

 韓国天文研究院宇宙測地グループのチョ・ジョンホ博士は、「地球から観測できるクエーサーの電磁波は数十億年前に発したもので、現在ではクエーサーそのものは消えたかもしれない。なくなった星の痕跡で地表面に住所を付与する緯度・経度の座標を割り出している」と語った。

 天文研究院は、クエーサーの電磁波を測定できる電波望遠鏡を蔚山・ソウル・済州で運営している。しかし、VLBI計測用には適合していない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る