日本学士院(久保正彰院長)は12日、優れた研究業績を表彰する2010年度の日本学士院賞を9件11人に贈ることになった。iPS細胞の樹立に世界で初めて成功した山中伸弥・京都大教授(47)と、能楽の歴史の研究で優れた業績を上げた表(おもて)章・法政大名誉教授(82)には、恩賜賞も贈る。自然保護の基礎となる研究業績に与えられる学士院エジンバラ公賞は、サンゴ礁の研究で成果を上げた西平守孝・財団法人海洋博覧会記念公園管理財団参与(70)に贈られる。
日本学士院賞は1910年に創設され、今回で100回目となる。授賞式は6月にある。受賞者と受賞対象の研究は次の通り。(敬称略)
【恩賜賞・日本学士院賞】
山中伸弥(やまなか・しんや)京都大物質―細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター長、再生医科学研究所教授(47)=幹細胞生物学=iPS細胞の樹立
表章(おもて・あきら)法政大名誉教授(82)=日本中世文学=能楽史の研究
【日本学士院賞】
梅原郁(うめはら・かおる)黒川古文化研究所長、京都大名誉教授(76)=東洋史学=中国・宋代の司法制度研究
斎藤修(さいとう・おさむ)英ケンブリッジ大リーバヒューム客員教授、一橋大名誉教授(63)=比較経済史、歴史人口学=比較経済発展論―歴史的アプローチ
黒岩常祥(くろいわ・つねよし)立教大理学研究科特任教授・極限生命情報研究センター長(68)=生物科学=ミトコンドリアと葉緑体の分裂・遺伝様式に関する基本機構の発見
佐藤勝彦(さとう・かつひこ)明星大客員教授、東京大数物連携宇宙研究機構特任教授(64)=宇宙物理学=加速的宇宙膨張理論の研究
村井眞二(むらい・しんじ)奈良先端科学技術大学院大理事・副学長(71)=応用化学=遷移金属分子触媒による有機化合物の骨格形成法と修飾法の開拓