「差別・迫害」と主張するデヴィ夫人に反論=朝鮮学校の無償化除外で

【PJニュース 2010年3月2日】「デヴィ夫人」という芸能人が高校無償化で朝鮮学校を外すことは「差別 ・ 迫害」だと主張している。まず、「デヴィ夫人」の『デヴィの独り言 独断と偏見』というブログにある「鳩山首相の発言に失望」と題した主張を紹介しよう。

「(鳩山首相が北朝鮮について)『国交のない国を同じように扱うのが望ましいか議論しなくてはならない』と述べ、 私は非常に失望致しました。・・・また、 26日朝、「この問題は、拉致問題にかかわりがある話ではない」と述べられたそうですが、 本当にそう思っていらっしゃるのでしょうか。国交のない国ですって??・・・・・?」と疑問を呈した。

そして、小泉元首相が02年に訪朝し国交正常化すること前提とした「日朝平壌宣言」に署名し、拉致問題に関して金正日総書記が正式に謝罪し拉致被害者5人が帰国したことを挙げて、デヴィ夫人は北朝鮮と日本との間には事実上の国交があると理解しているようだ。そして、デヴィ夫人は「高校授業料無償化から、 朝鮮学校だけを外すことは、差別 ・ 迫害に当たります」と主張した。

日本と北朝鮮の間に国交は現時点で無い。その理由をデヴィ夫人は前自民党政権にあるとしているが、それだけではない。北朝鮮側にもある。PJは先の記事で、鳩山首相の「国交がないから無償化しない」という議論は見当違いで、「チュチェ思想という金日成・金正日を神格化する思想教育を目的にしている朝鮮学校に日本国民の税金を拠出する根拠はなく、しかも、それは北朝鮮の日本人拉致を日本政府自らが正当化してしまう」と主張した。

だが、デヴィ夫人はそうは考えないらしい。彼女はこう続けた。「そもそも、 拉致事件が起きた背景には、日本人が100万人ともいわれる朝鮮半島の人を強制労働者として連行した、その復讐の連鎖があるのではないでしょうか? 今日、 在日の人達は、 日本が拉致するがごとく強制労働者として連行してきた人達の子孫ではないですか?政府はその方々に、逆に償わなければいけない筈。それなのに、 朝鮮学校を対象外とするとは、理解し難いことです」。

どうもこの方、問題の論点がずれている。戦前の日本が犯した朝鮮半島での償いのために、朝鮮学校を無償化するのではない。高校無償化は日本国民が将来安心し、安全で暮らしていけるための、日本国民の将来世代への投資なのだ。その日本国を敵視する国家、北朝鮮の独裁体制を形作る「チュチェ思想」を教育目的として掲げる朝鮮学校に日本国民の税金を投入するなどできるはずがない。

しかも、日本は100万人もの人々を強制労働者として連行もしていない。今の在日の人々の中には、済州島出身者など朝鮮国内で迫害を受けていた人々ら、当時の朝鮮からの政治亡命者も多数含まれていたし、繁栄する日本に職を求めて来た者もたくさんいたのも、また事実なのである。さらに言えば、「両班(りゃんばん)」という朝鮮の支配階級の多くは、日本の植民地政策に荷担して私利私欲をむさぼっていた。

「デヴィ夫人」は「『友愛』を盾にしている鳩山首相、『友愛』はどういう時に使うのでしょうか? 私は大変失望致しました。・・・いつになったら(日本と北朝鮮)両国が手を取り合い、平和を願う日が来るのでしょうか? 私は日本を愛することには、誰にも負けません。なぜ、日本はこんな国になってしまったのでしょうか。なぜ、もっと他国から尊敬される、威厳のある国になれないのでしょうか」と日本国家に苦言を呈している。

敵も味方もひっくるめて友愛など理想ではあるが、現実的ではない。朝鮮学校を支援することが他国から尊敬され威厳のある国に結びつくかも大きな疑問だ。そんなに朝鮮学校を支援したければ、「デヴィ夫人」が個人的がすれば良いだけではないか。朝鮮学校支援は日本国民の総意ではない。「友」ではない国に「愛」など送る余裕はいまのこの日本には無いし、必要もないのだ。デヴィ夫人の「偏見」は「偏見」でしかない。【了】

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パブリック・ジャーナリスト　大森 勇三