片山善博前知事(99〜07年在任)が02年に導入した鳥取県は「単なる照会を除く提言、要望、意見」と対象を広くとり、06年度に最多の38件が記録された。このうち、県議によるものが32件に上っていたという。しかし、08年度は16件に半減。「叙勲候補者の推薦」や「旅館業の許可」など、09年度も昨年12月末時点で7件にとどまる。
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橋下大阪府知事は、職員に寄せられた府民の声をすべて記録し、ホームページで公開する「オープン府庁・究極の情報公開」の導入を進めている。すでに情報公開を担当する府民文化部は試験的に記録を始め、3月末にも2月分を公開する。全部局に広げる方針で、知事自身や秘書による働きかけも例外ではない。
ただ府議を介した要望や意見を記録・公開するかどうかは「議会のご判断」(知事)とし、導入を求めつつも府議会での議論に委ねている。
「議員経由のものだけ除いて、府に寄せられた声が公開されれば、府議会はどうなっとんねんと言われる」
ベテラン府議の一人は11日、こう嘆いた。手元には橋下知事の発言を伝えるメモ。「議会から部局への指示を全部オープンにすればわかりやすい」と記されていた。
府議会では慎重論が大勢を占める。「何が口利きにあたるのか。市民の声を代弁しているとの見方もある」。2月16日、府議会の正副議長と主要会派幹部の意見交換会ではこんな不満も出た。「この場で決めることはない」と結論が先送りされ、現在も議論は止まったままだ。
ある府議は「入院待ちの順番や駐車違反、スピード違反など『議員なんて口利いてなんぼ』と思う支持者がいて、朝昼晩と電話がかかってくる」と実情を明かす。
別の府議も「がん患者から『専門病院に入院できない』と相談され、自分が病院に伝えて1週間で入院できた場合、議員としての力なのか、偶然なのか分からない」。