【コラム】サラリーマンは「誠実な納税者」ではない!?(下)

 一方、政府が納税に関して提供するメリットのうち、給与所得者にも与えられる唯一のメリットは、「税金ポイント」制度だ。

 10万ウォン(約7950円)の税金を納めるごとに1ポイントを付与し、100ポイント以上になれば、さまざまなメリットが与えられるというものだ。だが、そのメリットは、給与所得者にとっては縁遠いものばかりだ。

 最大のメリットとされているのは、徴税の猶予や、納期を延長する際に、担保を提供する代わりにポイントを使うことができるというものだ。だがこれは、自営業者にとってはメリットになるが、給与所得者とはほとんど関係がないものだ。

 また、税務署へ出向かなくても、電話で申請すれば、納税に関する6種類の書類を無料で受け取ることができるという制度がある。しかしこれも、「絵に描いたもち」と言ってよい。「税金ポイント」が1000ポイント以上の人が対象になるためだ。1000ポイントをためるには、税金を1億ウォン(約795万円)も納めなくてはならない。平凡なサラリーマンにとっては、夢のまた夢だ。サラリーマンたちは年間に約200万ウォン(約16万円)の所得税を納めているが、これでは20ポイントにしかならない。1000ポイントをためるには、50年かかる計算だ。

 給与所得者を「誠実な納税者」として認めない理由は何なのか。国税庁の関係者は、「“誠実な納税”とは、確定申告を通じて納める税金を対象としているため、源泉徴収される所得税は該当しない」と説明した。脱税する可能性のある人には、「税金をきちんと納める人は、“誠実な納税者”としてメリットを与える」というアメを与える一方、その可能性がないサラリーマンたちは冷や飯を食わされるだけだ、という声もある。政府が給与所得者に対し、「お前たちが逃げる場所はどこにもない」と言い、あざ笑っているようなものだ。政府は20-30年もの間、こつこつと税金を払い続けてきた給与所得者に対し、感謝の手紙を書くことすらない。給与所得者たちはただ、黙って耐えるしかないというわけだ。

李陳錫(イ・ジンソク)記者(経済部政策部長)

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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