記事入力 : 2010/03/11 15:06:31
【コラム】金総書記が咸興を訪れたワケ(下)
かつて、故・金日成(キム・イルソン)主席は約100億ドル(約9000億円)を投じ、平安道にビナロン工場を建設しようとし、結局失敗に終わった。この出来事は、北朝鮮経済の衰亡をもたらす引き金となった。咸興の「2・8ビナロン連合企業所」も、かなり前に一度閉鎖されていたが、操業を再開するに当たり、大規模な祝賀行事まで催した。
金総書記は今回の祝賀行事を通じ、北朝鮮内外に向けて、何らかの意思を示そうとしたに違いない。計画経済が破たんし、貨幣改革も失敗して、首相が謝罪する事態となり、北朝鮮内部が混乱に陥っているが、それでも金総書記は、自らの権力が揺らぐことはなく、改革・開放も行わないという、「悲壮な決意」を示そうとしたのだろう。外部から見れば、あきれてものが言えないようなビナロン工場だが、誰が何と言おうと、自分たちのやり方で、自分の思い通りに進めようと考えているのだろう。そんな金総書記が、核の廃棄や改革・開放の問題に対し、本当に前向きな対応をする可能性はほとんどない。
北朝鮮にもいろいろな地域があるが、その中であえて咸興を選んだ動機も気になる。これまで、金総書記が出席するような大規模な行事は、地方では不可能だと思われてきた。自分の身辺に関し、非常に臆病とされる金総書記は、完ぺきな警護が不可能な地方の民衆集会への出席をためらってきた。だが今回、地方での民衆集会を、あえて治安の悪い咸興で開き、10万人を集めた。記者はこれについて、金総書記が人民の抵抗や不満に対し、戦いを挑もうとしているのではないか、と感じてならない。
姜哲煥(カン・チョルファン)記者(東北アジア研究所研究員)
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) 2008 The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
- 【コラム】金総書記が咸興を訪れたワケ(上) 2010/03/11 15:05:59
- 【コラム】10代の中絶を防ぎ人口を増やすというのか(下) 2010/03/14 10:53:49
- 【コラム】10代の中絶を防ぎ人口を増やすというのか(上) 2010/03/14 10:53:45
- 【コラム】またもEBS教材だけが売れるのか(下) 2010/03/14 10:37:01
- 【コラム】またもEBS教材だけが売れるのか(上) 2010/03/14 10:36:56
- 【コラム】死を選んだ有名科学者の隠された真実 2010/03/14 09:38:02
- 【コラム】英語に拷問を受ける韓国社会 2010/03/14 09:30:41
- 【社説】統制権と原子力協定、交渉で韓米同盟の成熟度示せ 2010/03/13 12:25:15
- 【萬物相】プロファイラー 2010/03/13 12:23:11
- 【コラム】フランスから見た「無償給食」騒動(下) 2010/03/12 17:09:52
- 【コラム】フランスから見た「無償給食」騒動(上) 2010/03/12 17:09:45