中国が羅津港使用権、東海進出ルート確保か
中国吉林省の延辺朝鮮族自治州政府はこのほど、遼寧省大連市の中国企業が北朝鮮北東部の羅津港1号埠頭(ふとう)で10年間の使用権を確保したと発表した。全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に出席中の吉林省代表団が7日、国内外のメディアに記者会見で明らかにした。
中国は1990年代初め、豆満江開発計画を立てた当初、中国東北部から東海(日本海)に至る出口を確保するため、羅津港の使用権確保を目指したものの、相次いで失敗していた。同自治州政府の発表が事実とすれば、中国は北朝鮮領の羅津港を借りる形で念願の東海進出ルートを確保したことになる。
しかし、中国の中央政府が特に反応を示していないことに加え、使用権を確保した大連の環境設備メーカー、創立集団が港湾を開発、運営する能力を備えた企業かどうかは判明していない。このため、中国が実際に東海への進出権を確保したかどうかを確認するには時間を要するとみられる。
中国の民間企業が羅津港の使用権を確保したと伝えられるのは今回が初めてではない。2005年にも同自治州琿春市の東林貿易という企業が北朝鮮側と共同で羅津港3号埠頭の50年間の使用権を獲得したが、資本誘致の失敗で開発が断念された経緯がある。3号埠頭は羅津港にある五つの埠頭の中で最も立地条件が良く、規模が大きい。北朝鮮は計画断念に不満を抱き、3号埠頭の使用権をロシアに与え、国連開発計画(UNDP)の豆満江開発計画からも脱退したと伝えられている。
北京の外交筋は「羅津港の賃借は北朝鮮の主権にかかわる問題であり、北朝鮮と中国の中央政府による公式合意が必要だ。中国の民間企業が羅津港の開発権を確保したという話は以前にも何度か出たが、政府間合意が得られなかったために現実化しなかった」と指摘した。今年10月に着工が決まった新鴨緑江大橋(中国・丹東市-北朝鮮・新義州市)も、中国が10年以上にわたり北朝鮮側に求めていたもので、温家宝首相が昨年10月に訪朝し、金正日(キム・ジョンイル)総書記と合意したことで建設が確定した。
北朝鮮をめぐっては最近、朝鮮大豊グループによる100億ドル(約9000億円)誘致構想、鴨緑江の威化島・黄金平開発、羅津港開発など未確認または誇張された開発計画が相次いで浮上しており、疑念の目も向けられている。8日付産経新聞は、北朝鮮の民主化に取り組む民間非営利団体(NPO)「救え! 北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」(RENK)の話として、朝鮮労働党の張成沢(チャン・ソンテク)行政部長が今月、羅先(羅津・先鋒)地区を訪問し、「6カ月後にここを完全開放する」と宣言したと報じた。
北京=崔有植(チェ・ユシク)特派員
東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員
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