性犯罪:法施行前の電子バッジ装着を検討(下)

すでに出所している前科者の管理も

 現在検察が改正作業を進めている法律が成立しても、すでに出所して社会生活を営んでいる数万人の性犯罪者に対する監視は、やはり不十分だ。そのため再犯の可能性がある者に対する警察の管理制度や、性犯罪者の個人情報公開制度に関しても、適用対象をさらに拡大すべき、という指摘がある。

 キム・ギルテ容疑者も性犯罪で前科2犯だったが、警察の監視網からは完全に外れていた。キム容疑者は警察庁例規により、警察が集中管理を行う「情報収集対象者」ではなく、単なる「資料保管対象者」に分類されていたからだ。警察例規では殺人、強盗、窃盗、強姦、強制わいせつなどの悪質な犯罪で禁固以上の刑を3回以上受けて出所した者に関する犯罪関連情報は、2年にわたり収集することになっている。キム容疑者は2回の犯罪で11年にわたり刑務所生活を送ったが、まだ3回には達していなかったため、監視対象にはなっていなかった。

 性犯罪者の個人情報公開法も2000年7月から施行され、管轄の警察署で情報確認が可能となっており、警察が現在342人の閲覧対象者を1対1で管理しながら動向を把握している。しかし、キム容疑者はここでも監視対象ではなかった。キム容疑者が児童強姦未遂で判決が確定したのは1997年で、2001年の強姦に関しては、被害者が児童や未成年ではなかったという理由で、個人情報公開の対象者にはなっていなかったのだ。

 今回の事件だけでなく、これまで韓国社会を騒がせてきた性犯罪の中で、多くは捜査機関がしっかりと対策を立てて取り組んでいれば事前に防ぐことができた、との指摘も相次いでいる。

 ヤン・ジスンちゃん(当時9歳)は2007年4月に済州道西帰浦市で失踪し、40日後に遺体で発見された。ジスンちゃんを強姦して殺害した犯人のソン某容疑者(49)は、1997年に2歳の子供を拉致したこともある前科21犯だった。

チェ・ソンジン記者

柳井(リュ・ジョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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