進歩VS保守、無償給食の実施範囲めぐり対立(上)

地方選挙最大の争点

 「財閥一家の子弟にもタダで給食を与えるというのか」(ハンナラ党関係者)

 「納税者にもれなく還元する福祉が必要」(民主党関係者)

 無償給食の全面実施をめぐる論争が、6月2日の地方選挙を前に、保守・進歩両陣営間の「福祉論争」に発展している。興味深いのは、保守側は庶民に限定して無料給食を実施しようと主張しているのに対し、進歩側は富裕層まで含め階層区分なく支援しようとしている点だ。

 昨年基準で見ると、小・中・高校の児童・生徒740万人のうち、無償給食の対象者は97万人(約13%)。もし給食費の無料化が全面的に実施されれば、年間3兆ウォン(約2396億円)=2010年基準=以上の予算が追加で必要となる。

 全面施行に慎重な姿勢を示す教育科学技術部は、「各種の支援策が既に存在しており、お金がなく給食費を払えない低所得層はほとんどいない」と主張している。しかし各種の世論調査で、無償給食の全面実施は60-80%台の賛成を得ている。そのため野党側は、無償給食の問題を地方選挙の勝負所に定める戦略だ。

ポピュリズムか、庶民福祉か

 韓国政府と保守陣営は、無償給食の全面拡大について、「給食は果たして、不十分な公教育を強化するなど他の教育懸案よりも急ぐべき問題か。典型的なポピュリズム(人気迎合主義)だ」と主張している。ただし、世論調査の結果、無償給食の拡大に多くの賛成意見が集まったことで、保守陣営も、公開の場でこうした声を上げることに少なからぬ負担を感じている。

 これに対し、無償給食の全面拡大を主張する陣営は、「真の庶民福祉」という主張を鮮明に打ち出している。民主党の盧英敏(ノ・ヨンミン)スポークスマンは、「無償給食を全面施行すれば、貧困層だけが無料で受けられるという理由から心に傷を負っている子供たちを癒すことができ、子供を持つ庶民の不安を和らげることができる」と語った。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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