進歩VS保守、無償給食の実施範囲めぐり対立(中)

地方選挙最大の争点

 一方、第一線の学校の反応は、食い違っている。今学期から全面実施する京畿道広州市の五浦小学校のクォン・オクラン校長は、「以前は、無償給食の支援を受ける子供たちは、いかに秘密を守っても高学年になるにつれおのずと知れ渡るようになり、心理的に萎縮(いしゅく)していた」と語り、賛成の立場を示した。

 これに対し、ソウル市の上岩中学校のホン・ギチュン校長は、「中産階級家庭の子供たちを無償給食の対象にするのは、経済正義と所得分配の次元から見て妥当ではない。むしろ、帰宅しても夕飯の支度をしてくれる人がいない子供たちに支援する方が望ましい」と語った。

選択的福祉か、普遍的福祉か

 無償給食の問題では、「普遍的福祉」と「選別的福祉」という新たな福祉フレームが激突している。社会的弱者だけに恩恵を与える選別的福祉は開発途上国や米国、富裕層にも恩恵を及ぼす。一方、普遍的福祉は北欧など福祉先進国の政策だ。

 ただし、こうした論争は税負担の問題とも密接にかかわっている。増税を前提として普遍的福祉に向かうのか、減税基調の上で選択的福祉に向かうのか、選択の問題というわけだ。

 無償給食の全面実施を支持している済州大の李相二(イ・サンイ)教授は、「貧困階層にのみ特別に支援を行う“選別的福祉体制”では、社会統合も、持続可能な福祉も実現できない」と語った。税金を払う中産層は恩恵を受けられない選別的福祉では、租税抵抗に遭う可能性がある上、貧困層だけに与える質の低い福祉では、根源的な問題解決は難しいという。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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