イスラムマネーは、ドル・キャリートレード資金の流出に伴い、それに代わる新たな資金源として脚光を浴びている。ドル・キャリートレードは、低金利のドル資金を調達し、高金利の国で通貨や株式に投資を行うもので、昨年の韓国株上昇の要因にもなった。しかし、最近は米国が公定歩合を引き上げたことで、米国での資金調達コストが上昇するとの観測が強まっている上、ギリシャを発端とする南欧各国の金融危機でユーロに対する信頼が低下し、ドルは相対的に安全な資産と見なされるようになっている。このため、今後はドル・キャリートレードの巻き戻しが本格化する懸念がある。専門家はドル・キャリートレードが急に解消された場合、外貨流動性不足を招きかねないとして、ドルを重視した為替市場管理が必要だと指摘している。

　こうした状況で、イスラムマネーに対する注目度が高まっている。リーマン・ブラザーズの破産申請後、欧米の金融企業の損失を救ったのも、ほかでもないイスラムマネーだった。アブダビ投資庁など中東の国富ファンドが欧米金融企業への大規模な投資を行い、国際金融市場の「安全弁」として浮上した。

　米信託会社のバンク・オブ・ニューヨーク・メロンのアジア太平洋地域総括専務、ポール・マロタ氏は「イスラム債は流動性確保先を多様化する上で、発行者にも投資家にも魅力的だ。構造的にも安定しており、韓国の金融市場がさらに進化する契機になる」と強調した。

　韓国の金融機関もイスラム債の発行準備を急いでいる。韓国産業銀行は昨年、アブダビ投資庁の関係者をソウルに招くなど、イスラム債発行支援に向けた動きを加速している。証券会社でも、韓国投資証券がイスラム金融チームを設置し、マレーシアや中東との投資家ネットワークを構築している。

　韓国投資証券のイ・ユルヒ・イスラム金融チーム長は、「2月に国会で処理できなかったイスラム債投資促進関連法を4月に必ず成立させなければならない」と述べた。

ユ・ユンジョン記者