【コラム】サラリーマンは「誠実な納税者」ではない!?(上)

 韓国ではサラリーマンが「誠実な納税者」になることができない。「脱税している」という意味ではない。そもそも、「財布がガラス張り」といわれている立場であり、脱税とは縁遠い存在だ。韓国のサラリーマンたちが「誠実な納税者」になれないのは、政府が公認する「誠実な納税者」の対象から、給与所得者が除外されているためだ。

 政府は毎年3月3日の「納税者の日」に、模範的な納税者を選び、表彰を行っている。その対象者は毎年1500人ほどだ。「模範的な納税者」とは、すべての納税者ではなく、法人や個人事業者を対象としたものだ。「誠実な納税者」とは、この「模範的な納税者」と、知識経済部や労働部の推薦を受け、国税庁長官が認定した一部の企業を指す。

 結局、朝晩のラッシュに揉まれながら会社へ行き、給料をもらって、その中から所得税を納めている約800万人のサラリーマンたちにとって、「誠実な納税者」に選ばれる道は閉ざされていることになる。政府が「誠実な納税者」に与えるとしているさまざまなメリットは、「絵に描いたもち」にすぎない。

 「誠実な納税者」に与えられるメリットのうち、代表的なものは、税務調査の猶予、徴税の猶予、納期を延長する際の担保の提供義務の免除などだ。国税庁が最近配布した、「誠実な納税者を最高の顧客としてもてなします」というタイトルのパンフレットには、さまざまなメリットについて書かれている。

 銀行から融資を受ける際には金利の面で優遇され、また今年からは、貸付限度額を引き上げることも検討されている。借金を返すために四苦八苦している家庭が聞けばうらやむ話だ。また、「誠実な納税者」として表彰された法人が指定した関係者一人は、空港を利用する際、専用の検査場を利用できる。細かい所持品検査を受けなくてもよいという特権だ。さらに税務署でも、専用の窓口を利用できる。また、今年からは23カ所の国立公園の駐車場の使用料も免除される。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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