羅先進出第1号の韓国人企業家、対北投資に警鐘

「15年前、わたしは羅先でこうして失敗した…」

羅先進出韓国人第1号のノ・ジョンホ氏
 「15年前、北朝鮮の羅津・先鋒で50万ドル(現在のレートで約4520万円、以下同)をふいにした」

 1995年、韓国人企業家として初めて羅津・先鋒経済自由貿易地帯に進出したシピコ国際交易元社長のノ・ジョンホ氏(現・韓国老年消費者保護連合事務総長)=46=は、最近北朝鮮が積極的に投資誘致を行っていることについて、「掛け声倒れに終わった90年代の繰り返しになるだろう。北朝鮮は当時と何も変わっていない」と語った。

 ノ元社長は30代前半だった95年、羅津・先鋒地域に鉄条網44キロを輸出、「統一時代を開く青年実業家」としてメディアに大きく紹介された。

 当時、北朝鮮は「羅津・先鋒地域を本格的に開放するには、羅津・先鋒(周囲88キロ)を北朝鮮住民と隔離するのが優先事項」という論理で、ノ元社長に対し、必要な鉄条網の半分を供給するよう要請した。

 その見返りには、土地3万3000平方メートル(羅津市チャンピョン洞所在)の50年使用権を提示した。

 しかし、この提案には「わな」があった。貸与する土地について、2年以内に基礎工事を終えなければならない、という条項が問題だった。道路・水道・電気など基礎工事に必要な社会インフラがまったくない状況で、北朝鮮側の無理な要求が続いた。そうした要求に悩まされたため、工事自体を進めることができなかった。

 北朝鮮は当初、鉄条網供給のニュースが韓国メディアに公開されたことを理由に、契約を無効にすると脅した。北側を何とか説得したが、次々と新たな要求をしてきた。鉄条網周辺に配置する警備兵が使う懐中電灯やスタンガン、高圧電流発生装置まで要求した。

 ノ元社長は、「北の公務員の考え方は奇妙な実績主義だ。南側の企業家からどれだけ多く奪えるかが、実績の基準だった」と語った。ノ元社長はまた、「事業パートナーだった北側の関係者は、“実績”によって栄転か左遷されるため、毎回新しいパートナーと初めから論議を始めなければならなかった」と説明した。

 基礎工事を終えないまま2年が過ぎたため、土地使用権は自動的に白紙化された。鉄条網設置の費用50万ドル、各種経費を合わせれば、優に100万ドル(約9050万円)が消えていった。

 ノ元社長は、最近北朝鮮が多様なチャンネルで海外投資を誘致しようとしていることについて「ややもすると内臓まで奪われる。特に、“開放”という言葉は、韓国企業を引き入れるためのわなだ」と話した。

 ノ元社長はまた、「わたしたちは北側に、“同胞だからよくしてくれるだろう”という根拠のない期待をするが、これは完全に間違いだ。北朝鮮が韓国企業に誘いのジェスチャーを見せるのは、中国やロシアからの投資の呼び水にするためのものだ」と語った。

李竜洙(イ・ヨンス)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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