釜山少女暴行殺害:市民の怒り収まらず(下)

キム容疑者の父親「わたしも死にたい」

 この日午後8時30分、沙上区徳浦洞にある被害者イ・ユリさんの家の前には、警察による警備網が敷かれていた。ユリさんの父親(40)は仕事に出たものの、寝込んでいる妻(38)が心配で、早めに帰宅したという。キム容疑者が逮捕されたという知らせを聞いて沙上警察署に駆けつけた父親は、「初めは顔をしっかり見てやろうと思ったが、だんだん震えが出て、自分が衝動的な行動に出てしまいそうで、(警察署から)出てくるしかなかった。娘があまりにもかわいそうだ」と涙を流した。さらに「キム容疑者を、法律上可能な限り最も重い刑に処して、再び外の世界に出られないようにしてほしい」と強く訴えた。

 キム容疑者が犯行を否認しているという知らせに、ユリさんの父親はさらなる怒りを表した。父親は「人間の面をかぶって、そんなことを言ってはいけない。警察がDNA検査をして犯人だという結果が出ているのに、自分の犯行を否定するとは頭がおかしいのでは」と不快感をあらわにした。さらに「今どんなにひざまずいて謝っても許せないのに否認するなんて、(キム容疑者を)殺してやりたい気持ちだ」と話した。一方、ユリさんの母親はいまだにショックから抜け出せない様子で、「今はただ震えが止まらない」と話した。母親は前日、娘の葬儀を済ませた後、気力を失いずっと家に閉じこもっていた。「うちの娘は、本当に辛い思いをして死んでいったが、それでも犯人が捕まったと聞いてよかった。再びこのような事件が起きないでほしいと願うだけ」と話した。

 一方、キム容疑者の父親(69)は、「妻が今日大泣きして弱っている。遺族の方には、おかけする言葉もない。わたしも死にたい気持ちだ」と沈痛な表情で語った。「幼いころから親に心配をかけっぱなしで、少年院や刑務所に何度も入っていたが…」と言って、言葉を詰まらせた。キム容疑者の父親は、「素面の状態で息子が逮捕・護送される様子を見ることができず、酒を飲んだ」と話した。キム容疑者の両親は30年前、沙上区のある教会の前に捨てられていたキム容疑者を養子として引き取り育ててきた。

釜山=朴国熙(パク・ククヒ)記者

アン・ジュンヨン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
関連記事 記事リスト

このページのトップに戻る