裁判所が性的暴行犯に対し、執行猶予判決や拘束令状棄却などの措置を取っていることから、性犯罪者がさらに犯行を重ねるケースが相次いでいる。このため「裁判所の温情判決により、犯罪者は大手を振って歩いている。被害を受けるのは国民」という批判が出ている。

　ソウル高裁刑事第2部（パク・ホンウ裁判長）は、性犯罪で裁判所から執行猶予判決を受けた後に釈放され、たった1週間で未成年者を暴行した25歳の被告に、懲役7年を言い渡した。

　この被告は昨年4月、京畿道富川市で、制服姿で通りかかった女子生徒6人の後をつけ、強制的に抱きついたり、体を触ったりした容疑で逮捕・起訴された。しかし、2カ月後の昨年6月に一審で懲役1年、執行猶予2年の判決を受け、釈放されていた。

　ところが、この被告は釈放から1週間後、仁川市内で13歳の少女を刃物で脅し、マンション屋上で性的暴行を加え、15歳の少女二人にも性的暴行を加えようとして未遂に終わった容疑で逮捕され、再び起訴された。

　裁判所は、「被告は執行猶予判決を受けた直後も罪を犯したという意識を全く感じず、再び性犯罪に走ったことを考えると、電子足輪を装着させ、再犯を防ぐ必要がある」と述べた。

　また、先月12日未明、京畿道水原市内の病院救急処置室から逃走し、22日後の6日に検挙された強盗・性的暴行容疑者（48）も、昨年8月に強盗容疑で逮捕されたものの、拘束令状が棄却されたため、釈放後に犯行を重ねていた。

　この容疑者は特殊強盗・特殊窃盗罪により大邱刑務所で5年間服役し、昨年5月23日に出所したが、京畿道水原中部警察署は同年8月17日に準強盗容疑で逮捕した。だが、裁判所が拘束令状を棄却したため釈放されていたという。

　同署によると、その後この容疑者は昨年12月1日と今年1月12日の二度にわたり、水原市内の民家に侵入、金品を奪い、10代と20代の女性に性的暴行を加えようとしたが、未遂に終わったとのことだ。容疑者はこの2件を含め、計4件の強盗・性的暴行を犯した。

　警察関係者は「この容疑者は肺がんの症状があり、昨年6月ごろ手術を受け、治療が必要だという判断により、裁判所が拘束令状を棄却したと聞いた」と話す。これについて、水原地裁は「拘束令状を棄却するかどうかは判事が判断する領域で、棄却決定文は公開できない」としている。

鄭漢国（チョン・ハングク）記者

水原＝梁煕東（ヤン・ヒドン）記者